ウェルネス志向を取り入れた母性看護学の展開

I. はじめに ケアの対象としての一人の人間の全体像を捉えたとき, その人の中には問題のところもあれば良好のところもある. 例えば身体的には病気を持っていても強靭な精神力を持っている人もいるし, あるいは, 精神的に病んでいてもそれを支えてくれる家族のサポートがあるなどである. ゆえに看護者が導き出す看護診断のタイプには, 問題型, リスク型, ウェルネス型の三つが存在する. つまり, これらの三つのタイプの看護診断は, 対象を全人的にみるために相補う関係にあると言える. しかし, これまでの援助の方向は, 対象の問題点に着目し, それを改善あるいは解決することに主眼を置いてきたのである. 現...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:福島県立医科大学看護学部紀要 2006-03 (8), p.19-25
Hauptverfasser: 太田操, 石田登喜子, 木村英子, 渡邊恵美子, 内宮律代
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:I. はじめに ケアの対象としての一人の人間の全体像を捉えたとき, その人の中には問題のところもあれば良好のところもある. 例えば身体的には病気を持っていても強靭な精神力を持っている人もいるし, あるいは, 精神的に病んでいてもそれを支えてくれる家族のサポートがあるなどである. ゆえに看護者が導き出す看護診断のタイプには, 問題型, リスク型, ウェルネス型の三つが存在する. つまり, これらの三つのタイプの看護診断は, 対象を全人的にみるために相補う関係にあると言える. しかし, これまでの援助の方向は, 対象の問題点に着目し, それを改善あるいは解決することに主眼を置いてきたのである. 現在の看護過程のパラダイムは, 対象の問題点にのみ焦点を当てた問題志向がその根底にある. その結果, このような問題志向に基づいた看護過程の展開では, いわゆる生理的変化を辿っている対象すなわち問題や合併症がなく, 異常へ移行する危険性の少ない対象であっても, 無理に何らかの問題点を見つけ出さなければならないという事態が発生する. 確かに看護過程は, 問題解決的アプローチがベースになっている.
ISSN:1344-6975