中学生の大うつ病性障害における睡眠異常について

[目的]:本研究は児童・思春期の大うつ病性障害における睡眠の量的・質的障害について明らかにすることを目的としている. [方法]:本研究は大うつ病性障害と診断された79名のうつ病群と, 公立中学校に通う1,297名のコントロール群の二群を対象とした. これら二群の児童に対して, 自己記入式質問紙であるDepression Self Rating Scaleと筆者らが作成した睡眠時間(入眠時間, 起床時間, 睡眠時間)と睡眠異常に関する質問紙を施行した. 睡眠異常については入眠困難, 中途覚醒, 昼間の過度の眠気, 熟眠感の欠如, 睡眠充足感の欠如の5項目であった. これら結果をもとに男女間と二群...

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Veröffentlicht in:北里医学 2012-06, Vol.42 (1), p.70-70
Hauptverfasser: 宇佐美政英, 生地新, 齊藤万比古, 渡部京太, 岩垂喜貴, 小平雅基, 亀井雄一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的]:本研究は児童・思春期の大うつ病性障害における睡眠の量的・質的障害について明らかにすることを目的としている. [方法]:本研究は大うつ病性障害と診断された79名のうつ病群と, 公立中学校に通う1,297名のコントロール群の二群を対象とした. これら二群の児童に対して, 自己記入式質問紙であるDepression Self Rating Scaleと筆者らが作成した睡眠時間(入眠時間, 起床時間, 睡眠時間)と睡眠異常に関する質問紙を施行した. 睡眠異常については入眠困難, 中途覚醒, 昼間の過度の眠気, 熟眠感の欠如, 睡眠充足感の欠如の5項目であった. これら結果をもとに男女間と二群間の二要因の分散分析を行い, 男女別の大うつ病性障害の児童の睡眠異常について検討した. [結果]:うつ病群とコントロール群で睡眠時間に優位な差は認めなかったが, 入眠時間と起床時間についてはうつ病群がコントロール群に比べて有意に遅れていた. 睡眠異常に関しては, うつ病群がコントロール群に比べて有意に入眠困難と中途覚醒に関する項目の得点が高く, 2つに睡眠異常をうつ病群で多く認める結果であった. [結語]:本研究によって, 大うつ病性障害に罹患した児童は, 睡眠の量的障害は認めないが, 入眠困難および中途覚醒といった質的障害を認める結果であった. これらの特徴は, 児童・思春期の大うつ病性障害の臨床的特徴である可能性が示唆され, 今後児童・思春期の大うつ病性障害の睡眠異常に関するさらなる検証が期待される.
ISSN:0385-5449