Dahl食塩感受性ラットにおける甜菜 (ビート) 乾燥粉末の有用性について

「はじめに」近年, 食生活の欧米化に伴って, 肥満をはじめ高血圧, 高脂血症, 糖尿病など生活習慣病の発症率の増加, いわゆるメタボリックシンドロームへの対応が急務とされている. 現代人に不足する食物繊維の摂取量向上は, その予防・改善に効果的と思われる. 食物繊維は, 「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化成分の総称」と定義されている. 「日本人の食事摂取基準(2005年版)」において, 食物繊維摂取の目標量は1日当たり成人男性で20g, 成人女性で17～18gと設定されている1). 甜菜葉は食物繊維含有率が高く, その値(生葉換算)は現在青汁素材として広く使用されているケールに近い3.6%であったと報告されている2). そこでわれわれは, わが国では甜菜(ビート)の栽培過程において未利用であった甜菜茎葉に着目し, 健康食品の素材として有効利用することを検討してきた. 甜菜は地中海原産の多年草で, ビタミン, ミネラルをはじめ食物繊維などが多く含まれている. 日本ではあまり食用とされていないが, 古代より地中海や黒海では野菜として摂取されてきた. ラットを用いた甜菜葉投与試験では, 盲腸内pHの低下, 盲腸内酢酸および酪酸濃度の増加が認められ, この作用に甜菜葉に含まれている食物繊維が関与していることが示唆された3).