先端医療と未病
1. はじめに 日本産科婦人科学会は, 不妊を“生殖年齢にある夫婦が避妊することなく, 2年間経過しても妊娠できない状態”と定義し, 妊娠しても流産, 死産などで生児を得られない場合を含むとしている. 本邦では, 生殖年齢にある夫婦の約15%が不妊である. 子宮内人工授精(IUI), 体外受精胚移植(IVF-ET), 顕微授精(ICSI)など, 医学的に受精, 妊娠を介助する生殖補助医療(ART)は不妊治療の中心であり, ARTによる年間出生数は1万人を超えるまでになった. 本稿では, 未病学的観点からARTの光と陰を紹介したい. 2. 染色体の移植医療としての不妊治療 表1に移植医療の概念を...
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Veröffentlicht in: | 日本未病システム学会雑誌 2004/08/30, Vol.10(1), pp.33-35 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1. はじめに 日本産科婦人科学会は, 不妊を“生殖年齢にある夫婦が避妊することなく, 2年間経過しても妊娠できない状態”と定義し, 妊娠しても流産, 死産などで生児を得られない場合を含むとしている. 本邦では, 生殖年齢にある夫婦の約15%が不妊である. 子宮内人工授精(IUI), 体外受精胚移植(IVF-ET), 顕微授精(ICSI)など, 医学的に受精, 妊娠を介助する生殖補助医療(ART)は不妊治療の中心であり, ARTによる年間出生数は1万人を超えるまでになった. 本稿では, 未病学的観点からARTの光と陰を紹介したい. 2. 染色体の移植医療としての不妊治療 表1に移植医療の概念をまとめた. 一般に移植医療というと, 心臓, 腎臓, 肝臓などの臓器移植を指す場合が多い. これらは生命保持を目的とした緊急避難であり, レシピエントの死に伴い治療は終了する. IUI, IVF-ET, ICSIも移植医療の一種であり, その本質は配偶子, 胚を介した染色体の移植である. ほとんどの場合, 不妊は患者の生命予後に影響せず, 治療の目的は夫婦の挙児希望である. 不妊治療の終了(出産)は新しい命の出発点となる. 不妊治療の結果生まれた児は, 両親の治療法選択の時点では存在しておらず, 治療過程の安全性(患者保護)とともに治療結果の安全性(児の健常性保証)が, 人権保護の観点から大きな意味をもつ. |
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ISSN: | 1347-5541 2185-2162 |
DOI: | 10.11288/mibyou1998.10.33 |