肥厚性瘢痕素因と耳ケロイド体質の分子遺伝学的解析
ケロイドおよび肥厚性瘢痕は, 皮膚組織の増殖性病変として形成外科領域において問題となる疾患の代表的なものの1つに数えられているが, その発生機序については, いまだ不明な点が多い. 近年わが国において, 耳介ピアス型イヤリングの装着率が年々上昇傾向にあり, それに伴って耳ケロイド発生の増加が認められている. われわれは, ケロイドおよび肥厚性瘢痕の病因の根幹に, 細胞増殖制御異常の問題が関わっているのではないかと考え, p53遺伝子に注目し, 細胞分子レベルでの実験を行った. 腫瘍抑制因子の1つとして知られるP53タンパクは, 転写因子として遺伝子発現を制御し, 細胞増殖死をコントロールする....
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Veröffentlicht in: | 日本未病システム学会雑誌 2001/08/15, Vol.7(1), pp.75-78 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ケロイドおよび肥厚性瘢痕は, 皮膚組織の増殖性病変として形成外科領域において問題となる疾患の代表的なものの1つに数えられているが, その発生機序については, いまだ不明な点が多い. 近年わが国において, 耳介ピアス型イヤリングの装着率が年々上昇傾向にあり, それに伴って耳ケロイド発生の増加が認められている. われわれは, ケロイドおよび肥厚性瘢痕の病因の根幹に, 細胞増殖制御異常の問題が関わっているのではないかと考え, p53遺伝子に注目し, 細胞分子レベルでの実験を行った. 腫瘍抑制因子の1つとして知られるP53タンパクは, 転写因子として遺伝子発現を制御し, 細胞増殖死をコントロールする. 悪性腫瘍の半数以上のものでp53遺伝子変異が知られており, 加えて, ケロイド組織細胞のp53遺伝子にも突然変異があり, それがケロイド発生の原因であるとの報告もある1, 6). ところで, 正常人のp53遺伝子のcodon-72部分には, CGC(Arginine), あるいはCCC(Proline)のβ型の存在が知られ, 人はCGC/CGC(Arg/Arg), CGC/CCC(Arg/Pro), CCC/CCC(Pro/Pro)の3組の中の, いずれかの配列のalleleの組み合わせを保有する2). |
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ISSN: | 1347-5541 2185-2162 |
DOI: | 10.11288/mibyou1998.7.75 |