漢方成薬による治未病をめざして: 「冠元顆粒」の脳卒中予防機序に関する分子医学的研究

脳卒中と痴呆症などの病気は, 高齢化社会を迎えた日本, その患者自身の人間としての尊厳にかかわるのみならず, 周囲の介護者にとっても社会問題となっており, その予防と治療薬の開発は焦眉の急と言える. 一方, 中国においても, 血液および血管の病変が関与している疾患の罹患率の増加傾向がみられ, 日本同様その治療および予防についての研究が積極的に行われてきている. 特に, 西洋医学と中医学(中国伝統医学)の結合による多くの薬理および臨床試験などを通じて, 血液および血管の病変によるあらゆる疾患には血於の病態の関与があり1-3), 活血化於に基づく処方の応用が有効であることが証明されてきており, 「...

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Veröffentlicht in:日本未病システム学会雑誌 2001/08/15, Vol.7(1), pp.18-20
Hauptverfasser: 高, 明, 池田, 克巳, 野口, 孝則, 家森, 幸男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳卒中と痴呆症などの病気は, 高齢化社会を迎えた日本, その患者自身の人間としての尊厳にかかわるのみならず, 周囲の介護者にとっても社会問題となっており, その予防と治療薬の開発は焦眉の急と言える. 一方, 中国においても, 血液および血管の病変が関与している疾患の罹患率の増加傾向がみられ, 日本同様その治療および予防についての研究が積極的に行われてきている. 特に, 西洋医学と中医学(中国伝統医学)の結合による多くの薬理および臨床試験などを通じて, 血液および血管の病変によるあらゆる疾患には血於の病態の関与があり1-3), 活血化於に基づく処方の応用が有効であることが証明されてきており, 「冠元顆粒」はこのような状況から開発された生薬製剤である. 脳卒中易発症系高血圧自然発症ラット(SHR-SP)は, 高血圧の進展とともにその95%以上が脳卒中病変を発症するモデルとして最適のものであり, 世界各国で広く用いられている4). われわれはSHR-SPを用いて, 生薬の丹参を主薬とする水製エキス漢方製剤である「冠元顆粒」の投与により血圧上昇を抑え, 血液および尿中NOの代謝産物を増加させ, 脳卒中発症率と脳卒中による死亡率の低下を報告した.
ISSN:1347-5541
2185-2162
DOI:10.11288/mibyou1998.7.18