動脈硬化の成因における環境因子と遺伝素因の寄与について: 三重県紀勢町における動脈硬化の疫学的研究

1. 目的 動脈硬化症の発症には環境因子と遺伝素因が複雑に関与している. われわれは, 過去11年間にわたり三重県度会郡紀勢町の一般住民を対象に食事調査を含む健康調査を行ってきた1). 紀勢町は漁村と農村からなり, 住民の移動が少ない比較的閉鎖された地域で, 平成8年現在, 人口5,157人(農村2,189人, 漁村2,968人)を有し, 30歳以上70歳以下は2,936人である. 農村では脳血管疾患が多く, 漁村ではこれらが農村に比べて少なくなっている. 虚血性心疾患は, 両村とも, 訂正死亡率よりも高い. このような住民の移動が少ない地域で, 環境因子と遺伝因子の寄与について検討することは...

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Veröffentlicht in:日本未病システム学会雑誌 1998/10/24, Vol.4(2), pp.28-30
Hauptverfasser: 中野, 里美, 丸山, 太郎, 丸山, 千寿子, 春日, 明, 広瀬, 寛, 京谷, 晋吾, 原, 泰志, 仲森, 隆子, 鈴木, 裕也, 都島, 基夫, 猿田, 享男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1. 目的 動脈硬化症の発症には環境因子と遺伝素因が複雑に関与している. われわれは, 過去11年間にわたり三重県度会郡紀勢町の一般住民を対象に食事調査を含む健康調査を行ってきた1). 紀勢町は漁村と農村からなり, 住民の移動が少ない比較的閉鎖された地域で, 平成8年現在, 人口5,157人(農村2,189人, 漁村2,968人)を有し, 30歳以上70歳以下は2,936人である. 農村では脳血管疾患が多く, 漁村ではこれらが農村に比べて少なくなっている. 虚血性心疾患は, 両村とも, 訂正死亡率よりも高い. このような住民の移動が少ない地域で, 環境因子と遺伝因子の寄与について検討することは動脈硬化の成因を解明し, 予防法を見出すために有用と考え, 動脈硬化に関係するとされるangiotensin-converting enzyme(ACE)遺伝子多型2), β3-アドレナリン受容体(β3-AR)遺伝子多型3), アンジオテンシノーゲン遺伝子多型4)およびFatty Acid Binding Protein2(FABP2)遺伝子多型5)について調べた. 2. 対象と方法 対象としたのは, 280名(男性107名, 女性173名)で, 平均年齢は55.6歳(30~70歳)であった. 農村は, 男性59名, 女性78名, 平均年齢は56.8歳, 漁村は, 男性48名, 女性95名, 平均年齢は54.6歳であった. それらの住民に, 聞き取り法による食事調査を行い, BMI, 体脂肪率, 血圧, 血清脂質, 空腹時血糖, インスリンを測定し, Bモード超音波断層法で両側総頸動脈の内頸, 外頸動脈分岐部より1cm下の部位で内膜中膜複合体肥厚度(IMT)を測定した. 上記遺伝子多型はPCR-RFLP法で解析した.
ISSN:1347-5541
2185-2162
DOI:10.11288/mibyou1998.4.28