P14. 過酸化水素水を用いた水熱処理による酸化チタン膜の形成とその表面解析
ミニスクリューは歯科矯正治療における暫間的な固定源としての有用性が認められてきた. しかし, デンタルインプラントと異なり, 固定源として機能した後には除去が必要である. したがって強度が必要で, 多くのミニスクリューがチタン合金製である. しかし, 表面処理が施されている物は少なく, 高い脱落率が問題となっている. また, チタンは表面のタンパク吸着量が経時的に低下し, エイジングするという報告もある. そこで, 今回我々は一般臨床の場でも, 使用直前に簡便に酸化膜を形成できる水熱酸化処理法を考案し, その表面解析を行ったので報告する. Ti-6Al-4Vディスク(φ10mm×1mm)を3...
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Veröffentlicht in: | 日本再生歯科医学会誌 2011, Vol.9 (1), p.61-61 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ミニスクリューは歯科矯正治療における暫間的な固定源としての有用性が認められてきた. しかし, デンタルインプラントと異なり, 固定源として機能した後には除去が必要である. したがって強度が必要で, 多くのミニスクリューがチタン合金製である. しかし, 表面処理が施されている物は少なく, 高い脱落率が問題となっている. また, チタンは表面のタンパク吸着量が経時的に低下し, エイジングするという報告もある. そこで, 今回我々は一般臨床の場でも, 使用直前に簡便に酸化膜を形成できる水熱酸化処理法を考案し, その表面解析を行ったので報告する. Ti-6Al-4Vディスク(φ10mm×1mm)を3% H2O2に浸漬し, オートクレーブ(121℃, 0.2Mpa, 20min)で水熱処理した. 表面解析はSEM, XPS, およびSPMを行った. また, サンプルを4週間大気中に放置し, 超純水を滴下した際の接触角とタンパクの吸着量を測定した. SEM像からH2O2水熱処理の表面には粗造な微細構造が認められたが, 機械研磨表面はほぼ滑沢であった. XPS, SPMから水熱処理の表面には, 厚さ約95nm, Ra(表面粗さ)22.315nmの酸化チタン膜が形成されていた. 一方, 機械研磨表面には, 厚さ約5nm, Ra14.132nmの自然に形成された酸化膜が検出された. また, 4週後の接触角は有意に増加し, タンパク吸着量は低下した. 以上より, 本水熱酸化処理法は, 臨床の場で簡便に酸化チタン膜を形成する事が可能であり, ミニスクリューの脱落率を改善させることが示唆された. |
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ISSN: | 1348-9615 |