単独飼育解消を目指したアジアゾウの同居の取組と社会関係の形成

「要約」社会性の強いゾウの動物福祉を考えるうえで, 複数頭飼育をすることは重要である. しかし単独飼育個体が, 複数頭飼育に移行した事例は少なく, その過程についてはほとんどわかっていない. 2014年京都市動物園で4個体の新規個体群を導入し, 単独飼育されていた既住個体と同居を実施し, 社会関係の構築過程および, 既住個体の行動への影響を調査した. 2018年1月から2019年6月の間に, 直接観察と監視カメラでの記録をもとに行動変化を分析した. 初期 (同居開始直後) には既住個体から新規個体への攻撃行動が頻発していたが, 後期 (同居開始後1年以上経った後) には減少した. 既住個体と新...

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Veröffentlicht in:Animal Behaviour and Management 2023-03, Vol.59 (1), p.8-15
Hauptverfasser: 米田弘樹, 櫻庭陽子, 山梨裕美, 松岡賢司, 黒田恭子, 島田かなえ, 荒蒔祐輔, 瀬尾亮太
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要約」社会性の強いゾウの動物福祉を考えるうえで, 複数頭飼育をすることは重要である. しかし単独飼育個体が, 複数頭飼育に移行した事例は少なく, その過程についてはほとんどわかっていない. 2014年京都市動物園で4個体の新規個体群を導入し, 単独飼育されていた既住個体と同居を実施し, 社会関係の構築過程および, 既住個体の行動への影響を調査した. 2018年1月から2019年6月の間に, 直接観察と監視カメラでの記録をもとに行動変化を分析した. 初期 (同居開始直後) には既住個体から新規個体への攻撃行動が頻発していたが, 後期 (同居開始後1年以上経った後) には減少した. 既住個体と新規個体の親和行動も初期と後期で変化した. また, 既住個体の日中の常同行動については単独時と比較し同居時には減少した. 単独飼育期間が長い個体でも, 社会的な環境で飼育することが他個体と社会関係を構築し, 動物福祉向上につながることが示唆された.
ISSN:1880-2133