上顎咬合平面の傾斜と下顎側方偏位方向が相反する顔面非対称患者の形態学的特徴

「緒言」顎変形症患者に対しては個性正常咬合の確立のみならず, 骨格形態および顔貌における審美的改善のため外科的矯正治療が有効な手段として適用される. 特に近年増加する患者の審美的な主訴には側貌における上下顎の前後的, 垂直的な問題だけでなく, 正貌における左右非対称性の改善も含まれ, 外科的矯正治療の重要な治療目標の一つとなっている. Severtらは, 顎変形症患者1460名を調べたところ, 34%に顔面非対称が認められ, そのうち下顎の側方偏位を有する者が74%存在し, また, 上顎に関しては前頭面における咬合平面の傾斜を有する者が41%存在したと報告している. このような患者は, 矢状面...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 2014-04, Vol.24 (1), p.27-36
Hauptverfasser: 上杉俊輔, 米満郁男, 小海暁, 大村進, 小野卓史
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」顎変形症患者に対しては個性正常咬合の確立のみならず, 骨格形態および顔貌における審美的改善のため外科的矯正治療が有効な手段として適用される. 特に近年増加する患者の審美的な主訴には側貌における上下顎の前後的, 垂直的な問題だけでなく, 正貌における左右非対称性の改善も含まれ, 外科的矯正治療の重要な治療目標の一つとなっている. Severtらは, 顎変形症患者1460名を調べたところ, 34%に顔面非対称が認められ, そのうち下顎の側方偏位を有する者が74%存在し, また, 上顎に関しては前頭面における咬合平面の傾斜を有する者が41%存在したと報告している. このような患者は, 矢状面における二次元的な問題に前頭面の非対称が加わることで三次元的な顎骨の不調和を有することになり, 外科的矯正治療の難易度も高くなると考えられる. したがって, 術前に正貌の左右対称性を的確に評価することが望まれるが, 顔面の左右対称性の判断は評価者である術者と患者本人の主観の両方を反映させる必要があるため非常に困難である.
ISSN:0916-7048