Le Fort I型骨切り術により幅の広い顎裂を閉鎖した成人片側性口唇口蓋裂の1症例

「緒言」永久歯列期の口唇口蓋裂症例において, 顎裂部の骨欠損が大きい症例をしばしば経験する. 幅の広い顎裂の残存は顎裂部骨移植術および歯科補綴治療をしばしば困難にすると考えられてきた1-4). 一方, 幅の広い顎裂の閉鎖を歯槽骨の移動で行う場合には, 歯列弓の狭窄が生じ, 前歯が舌側移動することによる咬合状態の悪化が懸念される. そのため, 顎裂の縮小または閉鎖に際して, 上顎前方移動術, 上下顎移動術, あるいは上顎骨延長術が適用されることが多い5,6). 今回われわれは, Le Fort I型骨切り術による歯槽骨の前方移動と顎裂部骨移植術の併用により, 幅の広い顎裂を閉鎖し非補綴的に咬合再...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 2010-08, Vol.20 (3), p.258-265
Hauptverfasser: 本田綾, 馬場祥行, 片岡恵一, 鈴木聖一, 森田圭一, 小村健, 森山啓司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」永久歯列期の口唇口蓋裂症例において, 顎裂部の骨欠損が大きい症例をしばしば経験する. 幅の広い顎裂の残存は顎裂部骨移植術および歯科補綴治療をしばしば困難にすると考えられてきた1-4). 一方, 幅の広い顎裂の閉鎖を歯槽骨の移動で行う場合には, 歯列弓の狭窄が生じ, 前歯が舌側移動することによる咬合状態の悪化が懸念される. そのため, 顎裂の縮小または閉鎖に際して, 上顎前方移動術, 上下顎移動術, あるいは上顎骨延長術が適用されることが多い5,6). 今回われわれは, Le Fort I型骨切り術による歯槽骨の前方移動と顎裂部骨移植術の併用により, 幅の広い顎裂を閉鎖し非補綴的に咬合再構成を行った片側性口唇口蓋裂症例を経験したので, 術前後の変化様相について若干の考察を加え報告する. 「症例」「1)初診時所見」初診時年齢21歳4か月, 左側口唇口蓋裂の男性で, 顎裂の閉鎖を希望して東京医科歯科大学歯学部附属病院矯正歯科外来を受診した.
ISSN:0916-7048