P-4-3.Le Fort I型骨延長術および下顎枝矢状分割術を施行したMarfan症候群の1例
(緒言)Marfan症候群は結合組織の先天性障害によって起きる疾患で, くも肢症や大動脈弁閉鎖不全, 僧帽弁逸脱, 解離性大動脈瘤などを伴う症候群である. 今回われわれはLe Fort I型骨切り術および下顎枝矢状分割法を施行し, 良好な結果が得られた一例を経験したので報告した. (症例)29歳の男性で, 咬合不全を主訴に来院. (既往歴)5歳時より難聴あり. 1993年および1999年に気胸手術, 1998年Marfan症候群と診断され, 1999年に大動脈弁拡張症, 大動脈弁閉鎖不全のため弁置換術を施行. ワーファリンを4または45mg/日を1日ごとに服用. (現症)長身, 痩せ形で, く...
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Veröffentlicht in: | 日本顎変形症学会雑誌 2005, Vol.15 (3), p.207-208 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | (緒言)Marfan症候群は結合組織の先天性障害によって起きる疾患で, くも肢症や大動脈弁閉鎖不全, 僧帽弁逸脱, 解離性大動脈瘤などを伴う症候群である. 今回われわれはLe Fort I型骨切り術および下顎枝矢状分割法を施行し, 良好な結果が得られた一例を経験したので報告した. (症例)29歳の男性で, 咬合不全を主訴に来院. (既往歴)5歳時より難聴あり. 1993年および1999年に気胸手術, 1998年Marfan症候群と診断され, 1999年に大動脈弁拡張症, 大動脈弁閉鎖不全のため弁置換術を施行. ワーファリンを4または45mg/日を1日ごとに服用. (現症)長身, 痩せ形で, くも肢症および漏斗胸を呈していた. 顔貌所見として正貌にて下顎の左偏, 側貌にてオトガイ過成長を認め, 口腔内所見としてoverjet:-7mm, overbite:4mmで両側Angle III級反対咬合を呈し, 上顎正中に対し下顎正中が2mm右偏していた. (現病歴)2002年外科的矯正治療の適応で当科紹介され受診. 主治医, 歯科麻酔科対診の上, 手術可能との診断を得, 術前矯正を開始. (処置)当科にて下顎左側智歯, 上顎両側第2小臼歯, 下顎両側第1小臼歯を抜歯. 術前矯正終了後, 主治医対診し, 抗生剤3日前よりの術前投与, ワーファリンを2日前よりの休薬の指示を得た上で, Le Fort I型骨切り術および下顎枝矢状分割法を施行. 移動距離は下顎を右側臼歯部で後方へ8mm. 左側臼歯部で後方へ10mm, 上方へ1.5mm, 手術時間は2時間52分, 出血量858ml, 自己血輸血800mlであった, 術中術後ともに合併症なく全身状態も良好に経過し退院となった. (考察)本疾患に対する顎変形症手術は全身的な合併症の危険性があるが, 術前の対診による全身状態の把握, 術中, 術後の的確な対応により, 合併症を引き起こすことなく. 良好な結果を得ることができた. とくに留意すべき点は. (1)術前の抗生剤投与(2)抗凝固剤の休薬(3)術中の適切な循環血液量の維持と頻脈防止(4)気道内圧の過度上昇防止などと考える, 現在術後1年経過し骨形成, 咬合状態ともに経過良好である. |
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ISSN: | 0916-7048 |