B-4-1.著しい開咬を伴うハイアングルII級患者にスケレタルアンカレッジシステムと顎矯正手術を併用して治療した1例

骨格性の開咬を顎矯正手術にて治療する場合, 下顎骨切り術単独では下顎角部が下がり, 術後に後戻りの原因になる. このため, 下顎角部が下方に移動しないように, 上下顎移動術を行うことが多い. しかし, 著しい開咬を伴う症例では, 上顎の上方移動量に制限があるため, 下顎角部を下方に移動させることになり, 術後の安定性が問題になる. 今回われわれは, 著しい開咬を伴うskeletal Class II, highangle症例に対して, スケレタルアンカレッジシステム(SAS)を用いて大臼歯の圧下を図り, 上顎の上方移動量を少なくした後, 上下顎移動術を施行し, 良好な結果が得られたので報告する...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 2005, Vol.15 (3), p.192-192
Hauptverfasser: 三好康太郎, 柏木了, 大貫敬嘉, 永井宏和, 福田雅幸, 宮本洋二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:骨格性の開咬を顎矯正手術にて治療する場合, 下顎骨切り術単独では下顎角部が下がり, 術後に後戻りの原因になる. このため, 下顎角部が下方に移動しないように, 上下顎移動術を行うことが多い. しかし, 著しい開咬を伴う症例では, 上顎の上方移動量に制限があるため, 下顎角部を下方に移動させることになり, 術後の安定性が問題になる. 今回われわれは, 著しい開咬を伴うskeletal Class II, highangle症例に対して, スケレタルアンカレッジシステム(SAS)を用いて大臼歯の圧下を図り, 上顎の上方移動量を少なくした後, 上下顎移動術を施行し, 良好な結果が得られたので報告する. 症例は, 初診時年齢15歳10か月, 女性. 前歯が咬み合わないことを主訴に当科を受診した. 顔貌所見は, 側貌がconvex type, inter labial gap+12.0mm, U1 to stomion+8.0mmであった. 口腔内所見では, overjet+12.0mm, overbite -9.0mm, 下顎に強いSpeeの弯曲を認め, 第2大臼歯のみが咬合していた. 骨格的には, 左右対称でANB+7.3mm, mand. pl. angle 55.2°であった. 以上より, 著しい開咬を伴うskeletal Class II, high angle症例と診断した. 術前矯正治療は, 両側上顎第1小臼歯, 下顎第3大臼歯を抜歯, SASとして上下顎両側第1大臼歯部にライビンガー社製チタンミニプレートを装着した. 上顎は, 両側大臼歯の圧下と前歯の舌側移動, 下顎は両側大臼歯の圧下を行い, 下顎を反時計方向に回転させた. 上下顎骨移動術(Le Fort I型骨切り術, 下顎枝矢状分割術)を施行し, 上顎の上方移動, 下顎の後方移動を行い, 良好な顎顔面形態と咬合関係が得られた. 現在治療終了後6か月で, 咬合状態は安定しているが, 今後十分な観察が必要と考えている. 質問 横浜市民病院 増田元三郎 SASで臼歯を圧下したとのことですが, 臼歯圧下の後戻りはなかったのか. SAS除去後どれ位の期間をおいたら良いか. 回答 秋田大 医附属病院 歯口外 三好康太郎 SAS除去から動的処置終了までの6か月間に, 若干の後戻りを認めました. 3mmの圧下に対して1mm以下でした. 他施設の報告でもSAS除去後1年間で, 約30%の後戻りを認めたとのことでした. SAS除去後(圧下終了後)どれ位の期間おいたら良いかについては, 症例により異なると思います. 当科では, 圧下終了後に咬合状態が安定したことを確認した後, 矯正装置を除去しております.
ISSN:0916-7048