A-1-3.Le Fort I型骨切り術後に発症した上顎洞アスペルギルス症の1例
上顎洞アスペルギルス症は副鼻腔真菌症のひとつで, 全身抵抗力の減弱, 基礎疾患に伴う免疫能の低下などの全身的要因や, 副鼻腔の炎症, 換気不全などの局所的要因などが原因で発症するといわれている. 今回われわれはLe Fort I型骨切り術後に発症した上顎洞アスペルギルス症を経験したので, その概要を報告する. 25歳, 女性. 主訴:左側頬部の鈍痛が気になる. 現病歴:高校生時に学校の歯科検診にて歯列不正を指摘され当院矯正科を受診. 外科的矯正治療の適応と診断され, 1997年3月に当科を紹介され初診した. 顎変形症(下顎非対称を伴う下顎前突症)の診断のもと, 術前矯正治療の後, 2002年1...
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Veröffentlicht in: | 日本顎変形症学会雑誌 2005, Vol.15 (3), p.172-173 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 上顎洞アスペルギルス症は副鼻腔真菌症のひとつで, 全身抵抗力の減弱, 基礎疾患に伴う免疫能の低下などの全身的要因や, 副鼻腔の炎症, 換気不全などの局所的要因などが原因で発症するといわれている. 今回われわれはLe Fort I型骨切り術後に発症した上顎洞アスペルギルス症を経験したので, その概要を報告する. 25歳, 女性. 主訴:左側頬部の鈍痛が気になる. 現病歴:高校生時に学校の歯科検診にて歯列不正を指摘され当院矯正科を受診. 外科的矯正治療の適応と診断され, 1997年3月に当科を紹介され初診した. 顎変形症(下顎非対称を伴う下顎前突症)の診断のもと, 術前矯正治療の後, 2002年10月18日に上下顎移動術(上顎:Le Fort I型骨切り術, 下顎:両側下顎枝矢状分割法)を施行した. 術後の経過は良好で, 退院後は外来で定期的な経過観察を行っていたが, 術後1年頃より左側頬部の鈍痛を訴えるようになった. チタンプレート除去術を行う前にCTを撮影したところ, 左側上顎洞下方に粘膜の肥厚を認めたため, チタンプレート除去術と同時に上顎洞内の炎症病変の精査 加療を行うこととなった. 2004年11月12日, 全身麻酔ドにプレート除去術オトガイ形成術, 左側上顎洞消炎手術を施行した. 上顎洞前壁のチタンプレートを除去した後, 上顎洞前壁の骨を開削したところ, 洞底部から後壁部に直径20mm程の黄白色, 泥状の組織塊を認めた. この組織を洞底部の肥厚粘膜とともに掻爬し, 洞内を洗浄した. 病理組織学的所見:一部に石灰化を伴うアスペルギルスの菌塊を認めた. 術後2か月経過した現在, 頬部の鈍痛は消退している. Le Fort I型骨切り術の術前には左側上顎洞内に異常を認めないことから, 上顎に対する手術後の洞内の炎症などの局所要因により, 上顎洞アスペルギルス症を発症したと思われた. |
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ISSN: | 0916-7048 |