A-7-3.当院における顎矯正手術時大量出血症例の術後全身管理について
【はじめに】顎変形症の手術時には予測し得ないような大量出血が起こる場合がある. われわれは貯血式と希釈式を併用した自己血輸血で出血への対処を行っている. 今回, 術中に1200ml以上の大量出血があり, 手術終了時のヘモグロビン(Hb)値が7.0g/dl未満となった症例に対して行った全身管理方法について報告する. 【症例】2002年3月~2004年3月の間に大量出血を認めたのは6症例であり, 平均出血量1863ml, 手術終了時の平均Hb値5.6g/dlであった. 【管理方法】手術終了後も患者を覚醒させず, 調節換気を行いながら術後回復室へ搬送し, 人工呼吸器でPEEPをかけて調節換気を継続さ...
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Veröffentlicht in: | 日本顎変形症学会雑誌 2004, Vol.14 (3), p.224-225 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】顎変形症の手術時には予測し得ないような大量出血が起こる場合がある. われわれは貯血式と希釈式を併用した自己血輸血で出血への対処を行っている. 今回, 術中に1200ml以上の大量出血があり, 手術終了時のヘモグロビン(Hb)値が7.0g/dl未満となった症例に対して行った全身管理方法について報告する. 【症例】2002年3月~2004年3月の間に大量出血を認めたのは6症例であり, 平均出血量1863ml, 手術終了時の平均Hb値5.6g/dlであった. 【管理方法】手術終了後も患者を覚醒させず, 調節換気を行いながら術後回復室へ搬送し, 人工呼吸器でPEEPをかけて調節換気を継続させた. プロポフォール1~2mg/kg/hとケタミン0.5mg/kg/hの持続投与と補助的にドロペリドールの一括投与による鎮静を行った. 循環動態を安定させるために, 維持輸液以外に加熱ヒトアルブミン液, HES等の補液を行い, 鼻孔や口腔内からの出血が殆どなくなってから自己血800mlを輸血した. 術翌日, 患者を十分に覚醒させて血液検査を行った後, 抜管した. 【考察】顎矯正手術を受ける患者は, 若く健康である場合が多いので, 僅かでも合併症の発生が予測される同種血輸血は回避するべきである. 当院では自己血輸血を行っているが, 血液量には限界があり, 大量出血時には循環動態が不安定となったり, 低タンパク血症による膠質浸透圧の低下から肺水腫の発生の可能性がある. これらを回避し, 自己血を有効利用するために患者を覚醒させず, PEEPをかけて管理している. 当院で自己血輸血を開始してから顎矯正手術に対して同種血輸血を行ったことは無い. 顎矯正手術に対しては, 口腔外科医による出血のコントロールと歯科麻酔科医による適切な全身管理によって同種血輸血を回避し得ると考える. |
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ISSN: | 0916-7048 |