安全な顎変形症の治療を目指して-歯科麻酔医の立場からみた安全な顎変形症の治療
東京歯科大学の外科的顎矯正術は, 昭和40年代に高橋庄二郎現名誉教授によって本格的に導入され, 爾来今日までわれわれ歯科麻酔科が管理した全身麻酔による症例は3000例近くになる. 外科的顎矯正術症例の麻酔管理の主眼は, 術中には非侵襲的な麻酔法の選択, 出血量の調節, 気道管理であり, 術後は気道と痛みへの管理である. 本手術患者の安全性は, われわれの立場からは上気道の問題にほとんどが集約されると考えている. 麻酔科医が目指す手術患者の安全性と快適性は外科医も同じである. しかし, その具体的な方策となると口腔外科手術では術野が上気道であることから, その管理をめぐって術中では手術のやり易さ...
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Zusammenfassung: | 東京歯科大学の外科的顎矯正術は, 昭和40年代に高橋庄二郎現名誉教授によって本格的に導入され, 爾来今日までわれわれ歯科麻酔科が管理した全身麻酔による症例は3000例近くになる. 外科的顎矯正術症例の麻酔管理の主眼は, 術中には非侵襲的な麻酔法の選択, 出血量の調節, 気道管理であり, 術後は気道と痛みへの管理である. 本手術患者の安全性は, われわれの立場からは上気道の問題にほとんどが集約されると考えている. 麻酔科医が目指す手術患者の安全性と快適性は外科医も同じである. しかし, その具体的な方策となると口腔外科手術では術野が上気道であることから, その管理をめぐって術中では手術のやり易さと気道の安全性, 術後では手術結果の確実性と気道の安全性とで術者側と麻酔側では相反した立場になりやすい. 特に顎矯正術はこの点で口腔外科の特徴的な手術である. 両者で問題になるのは, 術中の麻酔科医の位置, 術後の上下顎結紮法であろう. これらに対しては両者話し合っておりあいをつける以外になく, それぞれの立場でデメリットと感じる方法に対しては, デメリットがより拡大しないように第2段の方策で確実に留める対策が必要である. 口腔外科医と歯科麻酔科医とは相互の理解と協調が重要であり, 患者の致命的な合併症予防と緊急時救命には両者, 看護部門が協調した万全の対策が組織的にも要求される. 本講演では, われわれの麻酔管理の目標と方法を紹介し, これまでの症例から患者の生命をおびやかす可能性のあった術中術後の合併症を検討し, その対策を提言したい. 外科的顎矯正術10年間(1994. 1-2003. 12)1. 総症例数 2. 年齢 3. 性別 4. 術式と症例数 5. 術式別手術時間 6. 術式別出血量 7. 輸血例(自己血, 保存血) 8. 輸血量と出血量 9. 麻酔法 10. 局所麻酔薬. 種類と使用量 11. 基礎疾患 12. ASA 13. 周術期合併症 14. ビス除去術の麻酔 1. 麻酔法の変遷 1)麻酔法 2)手術時間 3)出血量 2. 顎変形症手術の麻酔学的特長 3. 周術期管理の問題点と解決 1)術前 2)術中 3)術後 4. 合併症症例 1)大量出血 2)気道トラブル 3)神経麻痺 4)胃管の肺内挿入 5. 安全管理のための提言 |
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ISSN: | 0916-7048 |