B-3-3.コンピューターシュミレーションを用いて上顎前方歯槽骨骨切り術を行った1例

現在, 上顎前歯部の歯軸移動を必要とする患者に対しては, 多く術前矯正歯科治療と上顎前方歯槽骨骨切り術が併用されている. 今回, われわれが扱った患者は骨格性の反対咬合で, かつ矯正歯科治療が不可能な上顎前歯部の歯軸移動を必要とする症例である. これに対して, 画像処理ソフトを用いて移動する歯軸をコンピューターにシュミレーションし術後, 理想的な位置に歯軸を移動することができた1例を経験したので, その概要を報告する. 患者は39歳の男性で, 12歳頃より反対咬合を自覚したがそのまま放置していた. 最近になって摂食および構音障害が気になり, 近歯科医院を受診し骨格性の反対咬合と診断され, 精査...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 2003, Vol.13 (3), p.193-194
Hauptverfasser: 高橋英俊, 渡邊裕之, 里見貴史, 仲井孝之, 遠藤理子, 豊田潤, 松尾朗, 千葉博茂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:現在, 上顎前歯部の歯軸移動を必要とする患者に対しては, 多く術前矯正歯科治療と上顎前方歯槽骨骨切り術が併用されている. 今回, われわれが扱った患者は骨格性の反対咬合で, かつ矯正歯科治療が不可能な上顎前歯部の歯軸移動を必要とする症例である. これに対して, 画像処理ソフトを用いて移動する歯軸をコンピューターにシュミレーションし術後, 理想的な位置に歯軸を移動することができた1例を経験したので, その概要を報告する. 患者は39歳の男性で, 12歳頃より反対咬合を自覚したがそのまま放置していた. 最近になって摂食および構音障害が気になり, 近歯科医院を受診し骨格性の反対咬合と診断され, 精査を目的に当科を紹介され来院した. 初診時, 457は欠損し, 欠損部にはブリッジが装着されていた. 口腔内には矯正歯科治療を行うための固定源となる歯がなく, しかも上顎の全ての歯が失活歯であったため矯正歯科治療は不可能と診断した. 頭部X線規格写真や歯列模型分析から, 上顎前歯部の外科的歯軸移動と下顎枝矢状分割術を選択した. 術前の頭部X線規格写真をパーソナルコンピューターに取り込み, 移動する上顎前歯の歯軸をシュミレーションし移動角度を計測した. つぎに歯軸の移動量を模型上に再現し, その位置でバイトスプリントを作製し, これを利用して上顎前方歯槽骨骨切り術と下顎枝矢状分割術を施行した. この方法により, 術後のセファロ分析で, 術前に予想した上顎前歯部の歯軸角と良好なプロフィールが得られた.
ISSN:0916-7048