1-B-2-1.Le Fort I型骨切り術における吸収性ポリ-L-乳酸(PLLA)プレートの使用経験

従来より顎矯正手術の骨接合にはチタン製の金属ミニプレートやスクリューが多く用いられてきた. チタンは生体親和性が高く強固な固定が得られる一方, 生体内での金属イオン溶出の可能性が指摘され, プレート除去術による患者の身体的負担の増加などの問題もある. 近年開発された吸収性ポリ-L-乳酸(PLLA)プレートは, 生体内吸収性でプレート除去手術が不要だが, 骨片の固定有効期間は金属製プレートより短く術後安定性に関し検討する必要がある. 今回われわれは, 平成12年8月よりLe Fort I型骨切り術を行いPLLAプレートにて固定を行った15例のうち継続的に経過観察を行い得た5例に対し側貌セファロX...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 2002, Vol.12 (3), p.135-135
Hauptverfasser: 東田亜樹子, 瀬田修一, 秋元善次, 横山葉子, 高崎義人, 高野正行, 柿澤卓
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:従来より顎矯正手術の骨接合にはチタン製の金属ミニプレートやスクリューが多く用いられてきた. チタンは生体親和性が高く強固な固定が得られる一方, 生体内での金属イオン溶出の可能性が指摘され, プレート除去術による患者の身体的負担の増加などの問題もある. 近年開発された吸収性ポリ-L-乳酸(PLLA)プレートは, 生体内吸収性でプレート除去手術が不要だが, 骨片の固定有効期間は金属製プレートより短く術後安定性に関し検討する必要がある. 今回われわれは, 平成12年8月よりLe Fort I型骨切り術を行いPLLAプレートにて固定を行った15例のうち継続的に経過観察を行い得た5例に対し側貌セファロX線規格写真を用いて術直後から経時的安定性について検討を行った. 【方法】分析はPLLA症例とチタンプレート症例について術前, 術直後, 3カ月, 6カ月, 1年の側貌セファロX線規格写真を1組として通法通り重ね合わせを行った. Sellaを通りFHに垂直な軸を設定してA点, ANS, PNS, B点, Pog, Overjet, Overbiteの位置変化を求めた. 【結果および結論】PLLA群におけるOverjet, OverbiteならびにA点, B点, Pogの前後的, 上下的位置変化はいずれも1mm以内であり, チタンプレートとの比較においてもほとんど差は認められなかった. またANS, PNS, A点における術後変化量も小さかった. 以上PLLAプレートとチタンプレートとの術後安定性の比較においてPLLA群, チタンプレート群間に明らかな差は認められなかった. またPLLAプレートの破折や脱離, 露出, PLLAプレートによるアレルギー反応や創のし開は認められず, 生体内吸収性のためプレート除去術が不要となり, 患者の身体的負担の軽減が計られた. 以上よりPLLAプレートはLe Fort I型骨切り術における骨片固定材として有用と考えられた. 質問 北海道大, 歯, 口腔顎顔面外科 大井一浩 1. PLLA群とチタン群とに骨体の移動量に差があったのかどうか. 2. もしないとするなら今回の結果で安定性の差がないので, 患者さんの負担軽減からもPLLAをすべての症例に使っていったほうが良いのか. 回答 東京歯大, 水道橋病院, 口外 東田亜樹子 1. 今回チタン症例は23症例, PLLA症例は5例と症例数にも差があり, 移動量, 移動方向については条件を決めていないため骨体量の移動量は同じといえない. 今後は移動方向や移動量による比較をしたいと考えている. 2. 当科では, 患者にPLLAプレートの利点, 欠点を説明した上で患者本人に選択してもらっている.
ISSN:0916-7048