仮骨延長法を応用した下顎骨劣成長を伴うAngle II級症例

緒言 上下顎骨の不調和が著しい成人の骨格性上顎前突症の治療では, 上顎小臼歯などの抜歯によるカムフラージュ療法のみでは上下顎関係の改善は不可能で, 顎矯正手術が併用される. これまで下顎骨の劣成長を伴う骨格性上顎前突症に対し, 下顎骨の移動術や形成術が行われているが1-5), 外科的侵襲が大きくまた後戻り傾向があるとの報告が見られる6, 7). そこで近年, 劣成長の下顎骨を, 延長装置により徐々に骨長を増大させる下顎骨仮骨延長法も広く応用されるようになってきた8-12). 仮骨延長法は, 従来四肢の発育不全などに対する脚延長法として整形外科領域で行われてきた13-17). 顎口腔領域において...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 2000/08/15, Vol.10(2), pp.145-154
Hauptverfasser: 成瀬, 寛香, 伊東, 隆三, 太田, 文隆, 船津, 文子, 鬼木, 泰久, 松本, 光生, 下田, 恒久, 本田, 武司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:緒言 上下顎骨の不調和が著しい成人の骨格性上顎前突症の治療では, 上顎小臼歯などの抜歯によるカムフラージュ療法のみでは上下顎関係の改善は不可能で, 顎矯正手術が併用される. これまで下顎骨の劣成長を伴う骨格性上顎前突症に対し, 下顎骨の移動術や形成術が行われているが1-5), 外科的侵襲が大きくまた後戻り傾向があるとの報告が見られる6, 7). そこで近年, 劣成長の下顎骨を, 延長装置により徐々に骨長を増大させる下顎骨仮骨延長法も広く応用されるようになってきた8-12). 仮骨延長法は, 従来四肢の発育不全などに対する脚延長法として整形外科領域で行われてきた13-17). 顎口腔領域においては, 1992年にMcCarthyら8)が下顎骨延長の臨床応用を報告して以来, 従来の顎矯正手術や顎骨再建術などに変わりうる新たな方法として注目されている. 本法は骨移植を必要とせず骨延長が可能であり, 手術侵襲が比較的少なく, 骨切り部の急速な骨新生を促し, さらに皮膚や筋肉組織などの周囲軟組織の延長も可能であるなどの利点がある. 今回, 下顎骨の劣成長を伴うAngle II級2類成人症例に対し, 歯科矯正治療と両側の下顎骨仮骨延長法を行い, 顔貌ならびに咬合の改善が得られたので, 術前後の形態的, 機能的評価について報告する.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.10.145