2-B-37.外科的矯正患者が思春期に経験した心理的ダメージ
【目的】外科的矯正治療患者は, 自分の不正咬合の状態や他人との違いを認識し, それを不愉快と感じ受診に至ると想像される. これを簡略化すると認識→不愉快→受診←サポート要因の構図が考えられ, 特にサポート要因の存在が重要と考えられる. 今回, 顎矯正手術を終了した外科的矯正患者に対して前述の構図に基づいたアンケート調査を行った. 【資料および方法】鶴見大学歯学部附属病院矯正科に来院し外科的矯正治療を行った成人女子骨格性下顎前突症患者34名にアンケート調査を行った. なおアンケートは10の質問からなり数分以内で回答できるもので, 患者の同意のもとに矯正科来院時に個室で回答させた. 【結果と考察】...
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Veröffentlicht in: | 日本顎変形症学会雑誌 1999, Vol.9 (2), p.114-115 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】外科的矯正治療患者は, 自分の不正咬合の状態や他人との違いを認識し, それを不愉快と感じ受診に至ると想像される. これを簡略化すると認識→不愉快→受診←サポート要因の構図が考えられ, 特にサポート要因の存在が重要と考えられる. 今回, 顎矯正手術を終了した外科的矯正患者に対して前述の構図に基づいたアンケート調査を行った. 【資料および方法】鶴見大学歯学部附属病院矯正科に来院し外科的矯正治療を行った成人女子骨格性下顎前突症患者34名にアンケート調査を行った. なおアンケートは10の質問からなり数分以内で回答できるもので, 患者の同意のもとに矯正科来院時に個室で回答させた. 【結果と考察】認識:不正な状態の認識時期は小学5, 6年と中学生で全体のほぼ70%程度を示し, 思春期に多かった. 不正を気にしたきっかけは自己認識, 両親などからの指摘に次いで, 歯科一般医からの指摘, 学校検診などであった. 不愉快:小, 中学校で不愉快な経験のある者は全体の約半数に及んでおり, 比較的早期に心理的なダメージを受ける場合が多かった. 不愉快な経験をした16名のうち6名は訴えることなく我慢していた. 第三者に相談した9名についても, 相談後満足の得られたものは少なく, 心理的なダメージが継続していることが示唆された. 受診:矯正科初診時に外科的矯正治療の必要性を指摘されたが, その際の患者の反応は, 半数以上は既に予測, または理解しており, 説明を受けて納得したものを含めるとほとんどの患者か外科的矯正治療を理解していた. サポート要因:不愉快な経験をした16名のうち6名(38%)は誰にも相談せす我慢していた. 相談相手としては両親, 同胞者, 歯科一般医があげられた. 以上から外科的矯正患者はその不正の認識時期と治療時期との間に数年間のギャップがあり, この時期を心理的にサポートすることの重要性が示唆された. 「質問」大阪歯大・歯矯正 川本達雄 アンケートの母集団についてアンケート時の患者の心理状態はどうであったか. 性格的に細かい人とか, 患者の性格の違いにより回答への影響があると思いますが, そのような検査はやっていませんか. 「回答」鶴見大・歯矯正 島田達雄 今回そのような検査は行っておりません. たしかに質問紙内欄外にびっしり書いているような人は性格的に細かいなと思います. 「質問」九州大・歯・1口外 白土雄司 外科的顎矯正を受ける患者さんの一部に極端に精神心理学的問題を有する患者がいらっしゃいますが実際どのように対応していらっしゃいますか. 「回答」鶴見大・歯矯正 島田達雄 今後, さらにこのアンケート検査を設け, 構築していくことを教えています. 現時点では, まず患者の訴えをよく聞く(傾聴する)そして必ず治ると希望を持たせ, なぜ今すぐできないのかを納得してくれるまで丁寧によく説明してあげることを心がけています. 「質問」横浜港湾病院・歯口外 増田元三郎 具体的にどの様な心理的サポートをしたら良いのですか. 「回答」鶴見大・歯矯正 島田達雄 回答はさきの質問に対すると同じものになってしまいますが, やはりまず患者さんの訴えをよく聞いてあげ(傾聴), 必ず治ると希望を持たせ, なぜ今できないのかを納得するまで何度も丁寧に説明してあげることしか今はいえません. 思春期の行動特性, いじめにあってもその集団から抜けだせないということをふまえ, 場合によっては教育現場へ関与しなければいけないかもしれません. |
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ISSN: | 0916-7048 |