著しい開咬を伴った下顎前突症手術に対する一工夫

われわれは著しい開咬を伴った下顎前突症に対し下顎枝矢状分割術に顎下部皮膚切開を併用し後戻りを防止するために明視下に内側翼突筋, 咬筋の停止部の剥離, その交錯の切離を行うことにより筋の減張をはかり所定の咬合を構築し得た症例を報告した. [症例]27歳, 女性. 外科的矯正治療を希望し'95年3月某形成外科受診, 紹介により当科初診. overbite -13mm, overjet -6mmの開咬, 口腔悪習癖なし. [処置および経過]'95年7月術前矯正開始. 下顎後退量は大臼歯部で左側12mm, 右側15mm. 上顎の前後的位置は比較的良好であり, 下顎のみへのアプローチ...

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Hauptverfasser: 宮地斉, 向井陽, 河合俊彦, 古川博雄, 小木信美, 夏目長門, 河合幹, 山田晃弘, 後藤滋己
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:われわれは著しい開咬を伴った下顎前突症に対し下顎枝矢状分割術に顎下部皮膚切開を併用し後戻りを防止するために明視下に内側翼突筋, 咬筋の停止部の剥離, その交錯の切離を行うことにより筋の減張をはかり所定の咬合を構築し得た症例を報告した. [症例]27歳, 女性. 外科的矯正治療を希望し'95年3月某形成外科受診, 紹介により当科初診. overbite -13mm, overjet -6mmの開咬, 口腔悪習癖なし. [処置および経過]'95年7月術前矯正開始. 下顎後退量は大臼歯部で左側12mm, 右側15mm. 上顎の前後的位置は比較的良好であり, 下顎のみへのアプローチが妥当と考えた. '96年11月手術施行. 手術は通常の口内法による下顎枝矢状分割術に両側顎下部約5cmの皮膚切開を加えて施行したが遠位骨片の大きな移動量にもかかわらず, 抵抗なく所定の咬合を構築し得た. また遠位骨片後縁上部が乳様突起に近接(21mmの突出)するので同部の骨削除も併用した. 術後下唇知覚および運動麻痺は見られなかった. 顎間固定を術後6週間で解除し, 以後顎間ゴムを使用した. 現在咬合は安定し顎下部瘢痕も目立たず良好な結果を得ている. [結果]今回われわれが用いた手術法は一般的ではないが筋減張をはかり術後の後戻りを防止し, 同時に遠位骨片後縁上部の過剰な骨突出部の削除を併用出来るので本症例のように著しい開咬を伴った下顎前突症において有用な一方法と考えられた. 質問 立川病院, 歯口外 笠崎安則 1. 皮膚切開は5cm行ったとのことですが, もうすこし小さな切開でも可能でしょうか. 2. 著しい開口症患者に対し, 術直後に上下咬合させて安定させるのは困難な場合は少なくありません. 実際に皮切し内側翼突筋を切離した場合に, テンションが取れて咬合は安定しましたか教えて下さい. 回答 愛知学院大, 歯, 2口外 宮地斉 1. (皮膚切開について)顔面神経下顎縁枝を確認するため, 5cm程度は必要と考えた. 2. 過去にS.SR.Oで内側翼突筋が抵抗し, set backしにくかった症例で口内より同筋を剥離し, 所定の咬合を構築した症例を経験. 今回はよりseverな症例なので口腔外切開部より同操作を行い, 容易な移動が行えた.
ISSN:0916-7048