顎偏位症例の外科矯正術後の顎運動機能変化について

【目的】成人の顎偏位症例においては咬合, 顔貌の改善を目的として外科的矯正治療が行われることが多い. 外科的矯正症例の術前, 術後の機能的評価は術後の安定を考える上で重要である. とくに, 顎偏位症例は顎関節内障を伴うことが多いとの報告もあり, 顎機能評価の必要性が強く示唆される. 今回, 顎偏位を伴った外科的矯正症例の偏位側における顎運動機能の術前, 術後の変化について検討した. 【対象】神奈川歯科大学矯正科に来院した患者のうち下顎側方偏位を伴い骨格性下顎前突症と診断され外科的矯正(下顎垂直骨切り術:IVRO, 下顎矢状分割術;SSRO)治療を適用した患者6人(平均年齢25歳7ヵ月)について...

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Hauptverfasser: 久保田隆朗, 安井正紀, 佐藤貞雄, 笹倉裕一, 新藤潤一, 久保田英朗
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】成人の顎偏位症例においては咬合, 顔貌の改善を目的として外科的矯正治療が行われることが多い. 外科的矯正症例の術前, 術後の機能的評価は術後の安定を考える上で重要である. とくに, 顎偏位症例は顎関節内障を伴うことが多いとの報告もあり, 顎機能評価の必要性が強く示唆される. 今回, 顎偏位を伴った外科的矯正症例の偏位側における顎運動機能の術前, 術後の変化について検討した. 【対象】神奈川歯科大学矯正科に来院した患者のうち下顎側方偏位を伴い骨格性下顎前突症と診断され外科的矯正(下顎垂直骨切り術:IVRO, 下顎矢状分割術;SSRO)治療を適用した患者6人(平均年齢25歳7ヵ月)について偏位側術前, 術後の下顎頭運動経路の違いについて検討した. 【結果および考察】偏位側IVRO群において下顎運動経路が良くなったと判断できたものが3症例中3症例, SSRO群においては3症例中1症例であった. IVRO群では運動距離の増加, 水平面での下顎頭運動経路の改善, あるいはスムーズな下顎頭運動経路が得られた. SSRO群では, 運動距離の減少あるいはクローズドロック様の下顎頭運動経路を呈すものがあった. IVRO群では下顎骨の離断により下顎頭の周囲筋群によって下顎位が再構成されるため下顎頭運動経路が改善したものと思われた. 以上のことより術前の顎関節の状態や下顎骨の後方移動, 回転量による外側骨片のはね上げ量を考慮に入れた手術法の選択が必要であると思われた.
ISSN:0916-7048