下顎枝矢状分割術を施したSkeletal Class II症例における術後安定性について

〔目的〕今回われわれは骨格型下顎後退症に対し, 下顎枝矢状分割術によって下顎骨を前方移動した症例について下顎骨の術後安定性を検討したので報告する. 〔対象および方法〕対象は1993年から1997年の間で, 当院にて骨格型下顎後退症と診断され, 下顎枝矢状分割術を施した6名である. 手術時の年齢は20歳から44歳で, 男性1名, 女性5名であり, 手術は, 片側3本ずつのスクリュウ固定を行った. うち1症例についてはオトガイ形成術を同時に施行した. 術後は顎間固定は行わず, II級顎間ゴムによる開口制限を行った. その後, 術後矯正を行い経過観察を行った. 方法は術前, 術直後, 術後6ヵ月,...

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Hauptverfasser: 西村卓也, 大浦健宏, 渡邊諭, 和久田哲生, 西村賢二, 伊東隆利, 伊東隆三
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:〔目的〕今回われわれは骨格型下顎後退症に対し, 下顎枝矢状分割術によって下顎骨を前方移動した症例について下顎骨の術後安定性を検討したので報告する. 〔対象および方法〕対象は1993年から1997年の間で, 当院にて骨格型下顎後退症と診断され, 下顎枝矢状分割術を施した6名である. 手術時の年齢は20歳から44歳で, 男性1名, 女性5名であり, 手術は, 片側3本ずつのスクリュウ固定を行った. うち1症例についてはオトガイ形成術を同時に施行した. 術後は顎間固定は行わず, II級顎間ゴムによる開口制限を行った. その後, 術後矯正を行い経過観察を行った. 方法は術前, 術直後, 術後6ヵ月, 術後1年時点での側面頭部X線規格写真を撮影し, FH平面に投影した各時期の下顎歯槽基底最深点(B点)およびオトガイ部最突出点(Pog点)の位置変化量を計測, 各時期においての顎関節症状, 筋症状, オトガイ神経麻痺の有無, および患者アンケートによる現在の咬合状態の満足度について調査し, 術後安定性について検討した. 〔結果, 考察〕SSROの前方移動術後, 6症例全てに後戻りを認め, 術後変位量のほとんどは術後6ヵ月までに認められた. このため術後6ヵ月までの管理, 経過観察が重要であると考えられた. 咀嚼能力, 審美性および咬合関係について満足度はほぼ良好な結果だった. 著明な臨床症状は認めず, 術後安定性としてほぼ許容しうる結果が得られた. また更に良好な術後経過にするため, 愛護的な手術操作や術後管理が要求されると考えられた. 質問 新潟労災病院, 口外 武藤祐一 移動量が16mmを越える様な症例に対してはover correctionがbetterと考えます. 移動距離が多い場合と開咬が症例にある場合, releyrscが多いというdataをもっていますが, 術前の咬合状態は如何でしたでしょうか. 回答 伊東歯科医院 西村卓也 開咬を伴う症例というのは6症例のうちなかったので今回でていません. 質問 香川県立中央病院 三次正春 術前の位置の評価は, class IIのケースだとdual biteで術前にどちらかに当たっているかによって移動量が実際にはすごく大きいが(見かけ上は少ないが), 術前にdual biteのケースは術前にどれくらいの移動量をみこすかというのは特別なことをしているか. 追加 香川県立中央病院 三次正春 class II caseの術前の下顎頭の位置の評価は, Stabilizing型Splintを使用することで, 正確に再現できる. 手術計画の参考にされたい. 質問 東京歯大, 2口外 鶴木隆 skeletal class IIに対して, S.S.M.によるmandibular advancementを行った場合, 前方移動量が6mmを越えると後戻りが特に大きいと言われています. 私は, 咬合を切端咬合位にするover correctionを, 行うようにしている. 貴施設で咬合のover correctionはされているか. 回答 伊東歯科医院 西村卓也 Over Correctionは, 当院では咬合に関し中心咬合位(咬合調整による)にて決定しているため, 設定していませんが, 下顎頭を関節窩の最後方位におき, スクリュー固定することで後戻り対策を行っています. 今後の症例についてはOver correctionの設定についても考慮していきたい.
ISSN:0916-7048