口腔外科・矯正歯科間の連携の齟齬により術式変更を余儀なくされた下顎前突症の1症例

当施設では, 外科的顎矯正術の際の歯科矯正治療を依頼する際, カンファレンスを定期的に行っている. しかし, 互いの治療法の詳細まで熟知しきれないことがあり, 診療方針の変更を余儀なくされることもある. 今回, 過去, 多数の症例の連携治療を行った実績のある, 矯正歯科診療施設との連携にも関わらず連絡の行き違いにより, 術直前に術式変更を余儀なくされた下顎前突症の1例を経験したので, その経過と, 対処の方法について発表した. 症例:23歳, 男性. 主訴:下顎の前突感. 初診時当科治療方針:下顎前突ではあったが, 下顎枝矢状分割術のみではオトガイ後退感を招くと判断, 「下顎前歯部歯槽骨切り+...

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Hauptverfasser: 金子道生, 吉田憲司, 松尾直子, 大前岳人, 北村旅人, 石田洋一, 田中進平
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:当施設では, 外科的顎矯正術の際の歯科矯正治療を依頼する際, カンファレンスを定期的に行っている. しかし, 互いの治療法の詳細まで熟知しきれないことがあり, 診療方針の変更を余儀なくされることもある. 今回, 過去, 多数の症例の連携治療を行った実績のある, 矯正歯科診療施設との連携にも関わらず連絡の行き違いにより, 術直前に術式変更を余儀なくされた下顎前突症の1例を経験したので, その経過と, 対処の方法について発表した. 症例:23歳, 男性. 主訴:下顎の前突感. 初診時当科治療方針:下顎前突ではあったが, 下顎枝矢状分割術のみではオトガイ後退感を招くと判断, 「下顎前歯部歯槽骨切り+下顎枝矢状分割」の複合手術の方針とし, 矯正歯科医院へ連絡した. 経過:治療方針の説明が不十分であったためか, 矯正歯科医は, 「下顎骨体短縮術+下顎枝矢状分割術」の複合手術であると判断, 術前歯列矯正を完了した. 手術直前に術後予想歯列模型にて, 臼歯部歯列幅経が狭小であることから, 治療方針の食い違いに気づいた. 患者への説明をし了承を得た後, 下顎枝矢状分割+オトガイ形成術の複合手術に急遽変更し施行した. 咬合が不安定で術後の後戻りなど, 不安を残す手術となったが, 現在術後1年を経過し, 幸いにして経過良好である. 質問 東京歯大, 口外II 鶴木隆 骨切り骨片を完全に可動化して, 想定した咬合に抵抗なく移動できるまで, 特に筋肉, 骨膜, 靭帯および瘢痕組織を骨片より剥離することが後戻りの予防に重要である. しかるに顎間固定により下顎前歯が脱臼したり, 骨に骨ネジを打ち込み, これで顎間固定するというのは, どうも上記の操作が充分行われていなかった印象が強いと思われます. 如何でしょうか. 追加 東京歯大, 口外II 鶴木隆 上下歯列弓の幅径が合わない場合には, Le Fort I型骨切りに正中分割を加えることにより, 容易に問題を解決できます. 質問 東京歯大, 口外II 鶴木隆 1. 軟組織の剥離を充分に行ったか. 2. 歯列幅径が上下で違う場合, 上顎骨切りを併用しないのか. 回答 愛知学院大, 歯, 1口外 金子道生 1. 術中下顎枝部の軟組織, 舌骨上筋群切離等, 追加し可能な限り要因を除去したが, 解消しなかった. 2. 今回の症例では, もし実際に行った術式が最初から予定されていれば4┬4が抜歯されていたであろうと思われるので歯列幅径の問題は存在しなかったと考える. 質問 北海道大, 歯, 補綴2 大畑昇 1. 初診時のセファロ所見では, 開咬状態ですので, 下顎に対する骨切り術だけでは予後が悪いと予想されます. 上顎に対する骨切り術は考慮しなかったのでしょうか. 2. 上顎前歯部骨切りを併用する事は考えなかったか. 回答 愛知学院大, 歯, 1口外 金子道生 1. 後方移動量が大きくなり, オトガイの後退を危惧した為, 下顎枝矢状分割術で約7.0mmの後方移動と前歯部歯槽骨切りで5.0mmの後方移動を行いtotalで12.0mmの移動量を得ようとした. 2. open biteに対する手術法として上顎前歯部歯槽骨切りを行った経験はない. しかし, Le-Fort Iを行うことはある.
ISSN:0916-7048