外科的顎矯正手術の麻酔管理と術後管理

1. 術中の麻酔管理麻酔は何のためにするのか. 1. 外科侵襲から生体を守るためである. しかし, 麻酔自体も侵襲である. 2. 手術の結果が良いように, 術者が腕を振るえるような術野を提供する. しかし, 外科的矯正手術ではしばしばこのことは患者の安全性を脅かす. 良い麻酔とは, 侵襲制御と安全性と良好な術野の提供に視点を置いて, これらに対する管理の目標を具体的に定め, 上記の事柄を解決するあるいは解決しようとすることによって得られると考える. 麻酔は, 患者が無痛であればよいというのではなく, 術後の全身的回復のみならず創部の早期にして円滑な治癒にまで考慮した麻酔を心がける必要がある....

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 1997-10, Vol.7 (2), p.210-210
1. Verfasser: 金子譲
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1. 術中の麻酔管理麻酔は何のためにするのか. 1. 外科侵襲から生体を守るためである. しかし, 麻酔自体も侵襲である. 2. 手術の結果が良いように, 術者が腕を振るえるような術野を提供する. しかし, 外科的矯正手術ではしばしばこのことは患者の安全性を脅かす. 良い麻酔とは, 侵襲制御と安全性と良好な術野の提供に視点を置いて, これらに対する管理の目標を具体的に定め, 上記の事柄を解決するあるいは解決しようとすることによって得られると考える. 麻酔は, 患者が無痛であればよいというのではなく, 術後の全身的回復のみならず創部の早期にして円滑な治癒にまで考慮した麻酔を心がける必要がある. 外科的矯正手術の麻酔管理をこのような観点から, われわれが行っている具体的な方法をいくつか選択して紹介したい. 気管内チューブの固定 良好な術野の提供と気道の安全性がせめぎあいをするのが, 麻酔科医の位置と気管内チューブの固定法である. この問題の解決には, 固定の仕方だけではなく, これに付随する呼吸回路, 気管内チューブの種類, チューブコネクタのアングル, 患者の頭部に位置する手術台のアームなどの一連の工夫が必要である. 術中の局所麻酔 吸入麻酔薬による侵襲を軽減するために, 局所麻酔を積極的に行う. 局所麻酔により侵害刺激の中枢への伝達は遮断され, 吸入麻酔薬の投与量が減少する. これは各臓器機能への影響と免疫抑制を軽減させ, 術後の良好な全身的局所的回復につなげる. 術中の局所麻酔は, 含有されている血管収縮薬による効果だけを目的としない. 従って, この目的にあった局所麻酔薬, 血管収縮薬の選択, 麻酔方法への配慮が必要となる. 2. 術後の管理 術後の嘔吐と痛みへの対策が本手術の主な術後管理の要点となるが, 術後痛とpre-emptive analgesiaについて少し触れたい.
ISSN:0916-7048