成人における急速上顎拡大法について‐上顎皮質骨切り術施行例と非施行例の比較

歯科矯正治療上, 上顎歯列の拡大を必要とする症例において, 頬骨上顎縫合部や正中口蓋縫合の閉鎖が完全に終了していない年齢の患者では, 急速拡大装置がしばしば適用される. しかし, 正中口蓋縫合が完全に閉鎖された成人においては, 上顎急速拡大装置による拡大は難しいといわれている. そのため, 成人における急速拡大に補助手術として上顎皮質骨骨切り術を応用することがある. そこで今回われわれは, 正中口蓋縫合の閉鎖が完全に終了した成人において, 矯正治療に加え, 上顎皮質骨骨切り術を行った症例と, 矯正治療のみで上顎の急速拡大を行った症例の拡大率およびそれに要した期間などを比較検討し, 若干の知見が...

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Hauptverfasser: 杉森正英, 吉屋誠, 中村柚香, 佐藤篤, 岩瀬正泰, 南雲正男, 小澤浩之, 柴崎好伸
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:歯科矯正治療上, 上顎歯列の拡大を必要とする症例において, 頬骨上顎縫合部や正中口蓋縫合の閉鎖が完全に終了していない年齢の患者では, 急速拡大装置がしばしば適用される. しかし, 正中口蓋縫合が完全に閉鎖された成人においては, 上顎急速拡大装置による拡大は難しいといわれている. そのため, 成人における急速拡大に補助手術として上顎皮質骨骨切り術を応用することがある. そこで今回われわれは, 正中口蓋縫合の閉鎖が完全に終了した成人において, 矯正治療に加え, 上顎皮質骨骨切り術を行った症例と, 矯正治療のみで上顎の急速拡大を行った症例の拡大率およびそれに要した期間などを比較検討し, 若干の知見が得られたので報告する. 手術施行群は5例でその平均年齢は21.4歳に対して, 非施行群は4例で平均年齢は17.3歳であった. 方法は急速拡大前後の模型において, basal archとcoronal archの前後幅径および前後長径, さらに最後臼歯の最遠心歯頸部を基準とした最後方幅径を計測した. また, 正面および側方頭部X線規格写真において, U1-nasal floor, SN-U1 nasal cavity, width, apical base width, upper molar widthなどを分析比較した. その結果, 上顎皮質骨骨切り術施行群は非施行群に比べて, 早期に十分な拡大が得られたので, 本手術は上顎急速拡大の補助手術として有効であることが示唆された. 質問 福井医大, 口外 林解平 1. 上顎皮質骨切り術の術式について. 頬側, 口蓋側共に, 骨切りを入れているのか. 2. 頬側のみの骨切りにとどめる理由についてお聞かせ願いたい. 3. 術後, 全例とも, 入院か, 外来かどちらで行っているか. 回答 昭和大, 歯, 2口外 杉森正英 我々の行なっている上顎皮質骨切り術は, 個々の歯牙を動き易くするKoleのDentalveolar carticotomyではなく, 正中口蓋縫合を拡大させるLe-Fort I型骨切り術に準じる方法なので頬側のみの皮質骨切りで口蓋側には骨切りをする必要はないと思います. 手術症例は全て入院管理下で行っており, ドクターが朝, 夕1/4回転0.225mmの拡大を行っている. 追加 大歯大, 1口外 久保誼修 本来の皮質骨切り術は, 皮質のみの切離であり, それは, 頬側および口蓋側とも行うのが普通かと思われます. そういう点からすると, 上顎骨切り術となると思います.
ISSN:0916-7048