顎関節症を伴う下顎前突症患者に対する下顎技垂直骨切り術(IVRO)の経験

今回われわれはIVROが顎関節に及ぼす影響について手術前後の, 症状ならびにMR画像の変化について検討した. 対象は顎関節症III型clickと診断された顎変形症患者10例12関節で男性2例女性8例, 平均年齢は26.2歳であった. 初診時の矯正学的診断としては下顎前突症が5例, 下顎非対称を伴う下顎前突症が2例, 下顎非対称が3例であった. 治療方法としてはまず顎関節症に対する保存的治療を行ない, 関節疼痛の消失, スプリントによる関節雑音のコントロールがある程度可能になった段階で, 術前矯正を行い, 9例には両側IVROを, 1例には患側IVRO, 反対側下顎技矢状分割法を施行した. 平均...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 1996, Vol.6 (2), p.227-228
Hauptverfasser: 白井泰彦, 横江義彦, 安原豊人, 宮木克明, 西田光男, 村上賢一郎, 飯塚忠彦, 山田剛也, 瀬上夏樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:今回われわれはIVROが顎関節に及ぼす影響について手術前後の, 症状ならびにMR画像の変化について検討した. 対象は顎関節症III型clickと診断された顎変形症患者10例12関節で男性2例女性8例, 平均年齢は26.2歳であった. 初診時の矯正学的診断としては下顎前突症が5例, 下顎非対称を伴う下顎前突症が2例, 下顎非対称が3例であった. 治療方法としてはまず顎関節症に対する保存的治療を行ない, 関節疼痛の消失, スプリントによる関節雑音のコントロールがある程度可能になった段階で, 術前矯正を行い, 9例には両側IVROを, 1例には患側IVRO, 反対側下顎技矢状分割法を施行した. 平均矯正期間は13か月であった. 研究方法としては顎関節症状すなわち関節雑音, 関節疼痛について, 初診時, 手術前ならびに手術後に観察した. またMR画像所見については術前ならびに手術後1年以内(平均226日後)に撮影したMR画像を次の項目について比較検討した. 1)関節円板の位置, 2)関節円板の形態, 3)下顎頭の位置, 4)下顎頭と円板の位置関係についてである. その結果, 術前後の顎関節症状の変化を観察すると全症例において関節雑音が消失した. 手術前後のMR画像所見において, 関節円板の位置は10関節中4関節に改善がみられた. 関節円板の形態は8関節中4関節に改善がみられた. 下顎頭の前下方への位置変化は12関節中9関節にみられた. 下顎頭と円板の位置関係については10関節中7関節に改善, 復位がみられた. 以上の結果よりIVROは, 顎変形症を有する顎機能異常患者に有効であり, 円板や形態の改善も望み得る手法であることが示唆された. 質問 愛院大, 歯, 1口外 丹下和久 2番目に示していただいたMRI所見は閉口時のものですか, 開口時のものですか. もしも閉口時のものであれば, 下顎頭が前方に移動しすぎているような気がするのですが, 開口量や, 咬合状態などに変化はなかったでしょうか. 回答 京大, 歯, 口外 白井泰彦 供覧したMR画像は全て閉口時のものであり術前後において開口量に変化はありませんでした. また咬合状態については, 術後2, 3週間の顎間固定および, その後の顎間ゴムの使用により変化はありません. 質問 福岡歯大, 口外 下田恒久 IVROとSSROを併用した症例が, 1例ありましたが, そのケースと両側ともIVROを施行した症例は何が違いがありましたか. 回答 京大, 医, 口外 白井泰彦 そのケースは, 術前矯正をおこなっていなく, 顎間固定が長期にわたって行えないことや, set back量が10mm以上であったためSSROと併用しました. 顎間固定は, 2週間にしましたが, 両側IVROの場合と比べ, 術後の咬合状態に差はなく, またMR画像においても, 通常の下顎頭の前下方への移動が, 認められ, 特別な所見はみられませんでした. 質問 東医歯大, 2矯正 加藤嘉之 IVROを施行した場合, 中心位と中心咬合位で下顎頭の位置のズレが大きくなるようだが, その点についてどのようにお考えか. 回答 京大, 医, 口外 白井泰彦 現在までの経過観察においては, 咬合状態に変化は認められず, 臨床症状にも問題は, 生じてなく, むしろ, 下顎頭の生体に都合によい移動が顎関節症状を改善する要因であると考えています.
ISSN:0916-7048