顎変形症患者にみられる顎関節症の統計的観察

外科的矯正治療を必要とする顎変形症患者の顎関節症に関する統計的観察を行った報告は比較的少ない. 今回, 平成4年4月から平成7年12月までに当科にて外科的矯正治療が必要と診断された患者174名(男84名, 女90名, 平均年齢22.0歳)を対象に, 顎関節症についてのアンケートおよび顎態模型より調査を行った. アンケート調査結果から, 現在またはこれまでに顎関節に何らかの症状を有すると思われる有症者の割合は77.6%に達し, 男女差は認められなかった. また, 15歳から5歳間隔で有症者の割合をみたところ, 加齢とともにやや増加する傾向はあるものの, 有意差は認められず, 顎変形症患者では比較...

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Hauptverfasser: 加藤嘉之, 本橋信義, 榎本勤, 岩本昇士, 中川史彦, 川元龍夫, 小野卓史, 宮坂寛仁, 黒田敬之
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:外科的矯正治療を必要とする顎変形症患者の顎関節症に関する統計的観察を行った報告は比較的少ない. 今回, 平成4年4月から平成7年12月までに当科にて外科的矯正治療が必要と診断された患者174名(男84名, 女90名, 平均年齢22.0歳)を対象に, 顎関節症についてのアンケートおよび顎態模型より調査を行った. アンケート調査結果から, 現在またはこれまでに顎関節に何らかの症状を有すると思われる有症者の割合は77.6%に達し, 男女差は認められなかった. また, 15歳から5歳間隔で有症者の割合をみたところ, 加齢とともにやや増加する傾向はあるものの, 有意差は認められず, 顎変形症患者では比較的低年齢より顎関節症を発症するものが多いことが示唆された. 有症者の顎関節症状に関しては, 雑音等の単独症状を有する者は36.8%であり, 63.7%に複合症状が認められた. 生活環境, 各種習慣, 習癖等の項目では, 有症者が無症状者に比較して姿勢不良, 外傷既往が5%の危険率で有患に多く認められた. 矯正治療経験者では有症者の割合が低くなっていた. また, 顎態模型より顎変形症患者の咬合を下顎前突, 偏位, 開咬, 上顎前突およびそれらの組み合わせに分類し, 有症者の割合を検討したところ, 各種不正咬合間で有意差は全く認められなかった. 質問 京大, 歯, 口外 飯塚忠彦 1. 「筋痛をアンケート調査で調べられたのですが, どのような表現で質問されたのか. 2. 「姿勢不良」とはどのようなことを指すのですか. 回答 東医歯大, 2矯正 加藤嘉之 1. 疼痛を除く, 筋の疲労感, 重圧感, 不快感を訴えているものを筋症状有と分類した. 2. どのようなものを姿勢不良というのか検討は行っていない. 他人から姿勢が悪いといわれたことがあるかという項目に有と回答したものを姿勢不良者とした. 質問 九大, 歯, 1口外 白土雄司 偏位群の定義として, 上下顎正中のズレを4mmと設定しておられるのが根拠を御教示下さい. 回答 東医歯大, 歯, 2矯正 加藤嘉之 以前当科の藤崎らが一般不正咬合患者で疫学的調査で行った際に用いたものと同じ基準を用いた.
ISSN:0916-7048