日本における下顎に対する顎変形症手術の実態調査: 3. 周術期に問題となる要因, 術中・術後の合併症, 骨片の癒合不全について
「緒言」 顎変形症治療の進歩, 普及には, 全身麻酔法および周術期管理の進歩のみならず, 到達法として口内法を用いた手術術式の開発, 改良, 矯正歯科, 口腔外科を中心とした協同治療の確立などが貢献してきた. そして近年では日本国内で行う全身麻酔下口腔外科手術の内, ほぼ1割の件数を顎矯正手術が占めるようになった1). 前述したごとく口内法による手術法が広く用いられるようになったことで, 顔面頸部の瘢痕が避けられ, とくに下顎枝の手術では顔面神経下顎縁枝損傷の可能性も低下した. しかし口内法には手術野の確保に問題があり, 部位によっては直視下の手術が困難であるなどの欠点もみられている. また術...
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Veröffentlicht in: | 日本顎変形症学会雑誌 1996/04/30, Vol.6(1), pp.92-104 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」 顎変形症治療の進歩, 普及には, 全身麻酔法および周術期管理の進歩のみならず, 到達法として口内法を用いた手術術式の開発, 改良, 矯正歯科, 口腔外科を中心とした協同治療の確立などが貢献してきた. そして近年では日本国内で行う全身麻酔下口腔外科手術の内, ほぼ1割の件数を顎矯正手術が占めるようになった1). 前述したごとく口内法による手術法が広く用いられるようになったことで, 顔面頸部の瘢痕が避けられ, とくに下顎枝の手術では顔面神経下顎縁枝損傷の可能性も低下した. しかし口内法には手術野の確保に問題があり, 部位によっては直視下の手術が困難であるなどの欠点もみられている. また術野が狭いので, 手術操作が困難なことも事実である. 下顎枝の手術に限っても, 非直視下の手術操作として, 下顎枝後縁の筋の剥離が挙げられる. さらに骨手術一般に言えることではあるが, バー, 鋸等を使用する際には切削している部位も直視困難である. 手術操作は直視下に行うことが原則であるが, このように非直視下の手術操作が多用される顎矯正手術では, その合併症の多くは非直視下の手術操作に起因している. また顎矯正手術の目的は, 骨片を含む皮弁を形成し, 血流を障害しないで予定された位置に移動することにあるが, 血流の障害に起因する下顎骨の無菌壊死の報告もみられる2). 我々は全国の主要な顎変形症治療施設に顎変形症の手術のうち下顎骨の手術に限定し, 手術術式, 切離骨片の固定法, その使用材料, 顎間固定の有無, 期間, 術前術後の矯正治療, 周術期の問題点などについてアンケート調査を実施し, 第1報, 第2報において手術術式, 切離骨片の固定法, その使用材料, 顎間固定の有無, 期間, 術前術後の矯正治療について報告した3,4). 今回は顎矯正手術に伴う合併症を中心に検討したので報告する. |
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ISSN: | 0916-7048 1884-5045 |
DOI: | 10.5927/jjjd1991.6.92 |