von Recklinghausen病の部分症状として発現したと思われる著しい下顎前突症の1例ならびに文献的考察
von Recklinghausen病は(以下R病と略す), カフェ・オ・レ斑, 神経線維腫を主徴とする常染色体優性遺伝性疾患であり, 他に骨病変, 眼病変などが発生し, 顎顔面骨においても変形がみられるとされている. 今回, われわれは, R病の部分症状として発現したと思われる著しい下顎前突症の1例を経験したので, その概要を文献的考察と併せて報告した. 患者は23歳の男性で, 1981年7月24日当科を受診した. 全身所見では全身皮膚に大小不同の茶褐色の色素斑が多数存在し, また鎖骨および胸骨の形態異常, 右足の内反下腿が認められた. 顔貌は, 著しい下顎前突を呈し, 口腔内所見では「4...
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Veröffentlicht in: | 日本顎変形症学会雑誌 1995, Vol.5 (2), p.280-281 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | von Recklinghausen病は(以下R病と略す), カフェ・オ・レ斑, 神経線維腫を主徴とする常染色体優性遺伝性疾患であり, 他に骨病変, 眼病変などが発生し, 顎顔面骨においても変形がみられるとされている. 今回, われわれは, R病の部分症状として発現したと思われる著しい下顎前突症の1例を経験したので, その概要を文献的考察と併せて報告した. 患者は23歳の男性で, 1981年7月24日当科を受診した. 全身所見では全身皮膚に大小不同の茶褐色の色素斑が多数存在し, また鎖骨および胸骨の形態異常, 右足の内反下腿が認められた. 顔貌は, 著しい下顎前突を呈し, 口腔内所見では「4 5部頬側歯肉に母指頭大, 弾性軟の腫瘤が認められた. 腫瘤は病理組織学的に神経線維腫であった. 下顎前突症および「4 5部神経線維腫の診断下, 外科的矯正術と腫瘍摘出術を施行した. 術後14年経過した現在, 戻りもなく, 経過良好である. 口腔領域に神経線維腫の発生をみたR病の本邦報告例は60例あり, 顎骨の変化を伴うものは32例(53%)にみられた. これまでR病に伴う骨変化は一般に単純な神経線維腫の圧迫による二次的変化が多いとされてきたが, 顎骨においては発育不全や過形成などの一次的変化(22例)が二次的変化(14例)より多かった. このことより, R病に伴う顎骨の変化は, 特異的なものと考えられ, その部分症状として顎変形症が現れる可能性が文献的に示唆された. 質問 京大, 医, 口外 飯塚忠彦 1. 顔貌写真からはAcromegaly様の観がありますがGH値を測定などされておりますか. またトルコ鞍部の形態はどうだったのでしょうか. 2. パノラマX線写真では右下顎臼歯部に骨陰影があり, これが下顎前突症の原因とは考えにくいように思われますが如何か? 回答 愛知学院大, 歯, 1口外 矢田浩章 1. 術前に検索したところ, growthホルモンは正常範囲内であり, アクロメガリーは否定されました. 2. 本症例の骨症状を文献的に検討した結果, R病の部分症状と考えました. 質問 九州大, 歯, 1口外 白土雄司 1. 出血量は如何でしたか. 下顎管の拡大とかがあるということで術前にCTなどの検査はされましたか? 2. われわれも以前, 下顎後退症(小顎症)を伴うvon Recklinghausen病を経験し, 同様な検討を行ったことがありますが, 腫瘍に伴う2次的な顎骨変形と異なり, 下顎前突症などの骨格性変化は, もう少し別の調査研究をしなければ, 一概に部分症状としてとらえるのは早計ではありませんか? 回答 愛知学院大, 歯, 口外 石原朗 今回の文献的考察はあくまでも口腔外科領域からの報告をまとめたものであり, 一概に発現頻度が高いとは云えません. 皮膚科, 整外などからの報告例は, 顎骨や口腔内の所見に乏しいため, R病全体における顎変形症の発現頻度を正確に検索することは困難と思われます. |
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ISSN: | 0916-7048 |