下顎枝矢状分割法における術中偶発骨折とその対策
「緒言」 下顎枝矢状分割法は, 顎変形症に対する外科的矯正手術において広く選択される術式であるが, 稀に術中偶発骨折, 下歯槽神経支配領域の知覚異常, 顔面神経麻痺, 術中の多量出血等の合併症を伴うことがある1). 今回われわれは, その中の特に術中偶発骨折について調査するとともに, その骨折要因および対策について検討したので報告する. 「対象および方法」 1984年1月から1993年12月までの10年間に当科において施行した顎変形症手術のうち下顎枝矢状分割法を実施した325症例(650側)について, 診療録, 手術記録ならびに術前後のエックス線写真に基づき術中偶発骨折の有無を調査した. さら...
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Veröffentlicht in: | 日本顎変形症学会雑誌 1995/04/30, Vol.5(1), pp.70-75 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」 下顎枝矢状分割法は, 顎変形症に対する外科的矯正手術において広く選択される術式であるが, 稀に術中偶発骨折, 下歯槽神経支配領域の知覚異常, 顔面神経麻痺, 術中の多量出血等の合併症を伴うことがある1). 今回われわれは, その中の特に術中偶発骨折について調査するとともに, その骨折要因および対策について検討したので報告する. 「対象および方法」 1984年1月から1993年12月までの10年間に当科において施行した顎変形症手術のうち下顎枝矢状分割法を実施した325症例(650側)について, 診療録, 手術記録ならびに術前後のエックス線写真に基づき術中偶発骨折の有無を調査した. さらに術中偶発骨折例について, 骨折部位と骨折様態, 手術術式の詳細, 偶発骨折への対処と骨折骨片の固定方法, 手術時間, 顎間固定の期間, 顎間固定解除後の臨床経過について検討した. 「結果」 325症例のうち術中偶発骨折を認めたのは8症例(8側)で, 発生頻度は2.4%であった. 骨折部位は, 8例中6例が外側骨片に, 2例が内側骨片に認められた. 左右差は, 特に認めなかった. また, 偶発骨折は, いずれも分割ノミにより内外側骨片を分割する際に発生していた. 骨折の様態をみると, 外側骨片の骨折は, (1)下顎切痕から外側骨切り線に至る下顎枝を縦断する骨折(Fig. 1A), (2)内側骨切り線の高さで下顎枝を横断する骨折(Fig. 2A), (3)これらを複合した骨折(Fig. 3A), (4)内側骨切り線と外側骨切り線の間で下顎枝を横断する骨折に分類することができた. 一方内側骨片では, (5)内外側骨切り線の間で下顎枝を横断する骨折(Fig. 4A), そして(6)埋伏智歯部での骨折が認められた. 骨折した骨片の固定は, ワイヤーによる囲繞結紮, 骨縫合, スクリュー固定, さらにミニプレートによる種々の固定法が行われていた(Table 1, Fig. 1~4B, 2C, 3C). |
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ISSN: | 0916-7048 1884-5045 |
DOI: | 10.5927/jjjd1991.5.70 |