D-1. 外科的矯正治療例の口腔機能の観察
顎顔面変形症に対して外科的矯正治療を行い, 顎関係, 咬合状態および顔貌の調和など形態の改善をはかることについては充分な成果が上っている. しかしながら, 機能的な評価はいまだ充分ではないので, 今回われわれは, 咀嚼, 嚥下, 発音, 日常会話など, 口腔機能時の口腔周囲筋の動態について, これらの動作間に出現する習癖などを含めて観察し, 治療前後について比較検討した. 方法:研究対象は, 本学千葉病院で矯正科と口腔外科との共同治療のもとに外科的矯正治療を受け, 術後矯正治療を終了した成人の顎顔面変形症患者15名(男3名, 女12名)である. 症例は骨格性下顎前突症, 上顎後退症, 開咬症な...
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Veröffentlicht in: | 日本顎変形症学会雑誌 1993, Vol.3 (2), p.229-230 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 顎顔面変形症に対して外科的矯正治療を行い, 顎関係, 咬合状態および顔貌の調和など形態の改善をはかることについては充分な成果が上っている. しかしながら, 機能的な評価はいまだ充分ではないので, 今回われわれは, 咀嚼, 嚥下, 発音, 日常会話など, 口腔機能時の口腔周囲筋の動態について, これらの動作間に出現する習癖などを含めて観察し, 治療前後について比較検討した. 方法:研究対象は, 本学千葉病院で矯正科と口腔外科との共同治療のもとに外科的矯正治療を受け, 術後矯正治療を終了した成人の顎顔面変形症患者15名(男3名, 女12名)である. 症例は骨格性下顎前突症, 上顎後退症, 開咬症などで, 下顎枝矢状分割法(8例)または全上下顎骨同時移動術(7例)を行ったものについて, 手術前と術後矯正終了後に口腔機能の検査を目的としてビデオ撮影を行った. 撮影時には, 椅子に自然体ですわらせ前方を正視させ, 日常会話, 開閉口, 唾液や飲料水の嚥下, ビスケットや煎餅などの咀嚼と嚥下などを行わせ, 顔面の正貌および側貌について観察した. 結果:1. 口腔周囲筋の姿勢位では, 口唇閉鎖時のオトガイ筋の緊張が減少し, 習癖では弄(吸)唇癖や舌突出癖が減少し, 低位舌の改善が見られた. 2. 発音では, サ行, タ行音が明瞭となり, 口唇および舌の動きが円滑となり, 発音時の口輪筋の緊張および弄唇癖が減少した. 3. 嚥下では, 口唇部を含む顔面筋の過緊張が減少し, 舌が挙上され, 弄舌癖や舌前方突出癖が減少した. 4. 咀嚼では, 運動のパターンやリズムがよくなり, 口輪筋の緊張が軽減し, 弄(吸)唇癖および舌突出癖が減少した. 結論:外科的矯正治療では, 顎関係の改善や顔貌の改善のみならず口腔機能や口腔周囲筋の姿勢位, 習癖の改善が見られた. 質問 広島市 鶴田仁史 1. 嚥下時の舌動態がこの方法で十分に観察できるものでしょうか. 回答 東歯大, 矯正 山口秀晴 嚥下時の習癖に関してはLow tongue, 舌尖の位置, 舌骨の動きと口唇の動きにより弄舌癖, 弄唇癖の確認をビデオで行い, 口腔周囲筋の協調性を評価しました. 質問 広島市 鶴田仁史 術後に行う機能訓練はどの程度まで行いますか. 回答 東歯大, 矯正 田中康照 MFTのトレーニングはZickefooseのものよりtongue upのものを主として行っています. 質問 昭和大, 歯, 矯正 平川崇 MFTトレーニングの中で特に有効な物はあるか. MFTトレーニングはOpe前より始めるのか. 回答 東歯大, 矯正 田中康照 MFTのトレーニングは, 手術直前にspotの位置を教え, 手術直後より行っています. |
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ISSN: | 0916-7048 |