B-29. 顎変形症患者での手術前の全身所見に対する検討

外科的顎矯正術の対象年齢は通常20歳前後であり, 全身状態は一般に良好であることが多く, 疫学的に見ても各種疾患の発生率は低い. このようなことから, 矯正医あるいは口腔外科医は術前評価を十分にせず安易に手術を前提とした治療計画を立てる場合があると思われる. また, 保険行政の立場からも術前検査の必要性を疑問視する意見が聞かれる. そこで, 今回私たちは昭和57年より平成4年12月までに大阪歯科大学第1口腔外科で顎矯正手術が施行された255症例を対象に, 術前の検査結果を調査し, 全身麻酔下での顎矯正外科手術におけるリスクファクターの有無を調べ, 顎変形症患者の術前検査の必要性を検討し報告した...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 1993, Vol.3 (2), p.219-219
Hauptverfasser: 島盛隆, 久保誼修, 小渕匡清, 安井常晴, 白数力也, 土井純子, 高橋一朗, 木下善之介, 村上賢一郎, 白土雄司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:外科的顎矯正術の対象年齢は通常20歳前後であり, 全身状態は一般に良好であることが多く, 疫学的に見ても各種疾患の発生率は低い. このようなことから, 矯正医あるいは口腔外科医は術前評価を十分にせず安易に手術を前提とした治療計画を立てる場合があると思われる. また, 保険行政の立場からも術前検査の必要性を疑問視する意見が聞かれる. そこで, 今回私たちは昭和57年より平成4年12月までに大阪歯科大学第1口腔外科で顎矯正手術が施行された255症例を対象に, 術前の検査結果を調査し, 全身麻酔下での顎矯正外科手術におけるリスクファクターの有無を調べ, 顎変形症患者の術前検査の必要性を検討し報告した. その結果, 貧血は全症例中の21例(8.2%)で, 男2例(2.5%), 女19例(10.9%)であった. 肝機能異常は17例(6.7%)で, 男9例(11.1%), 女8例(4.6%)であり, 循環系の異常は全症例中6例(2.4%)で, 男1例(1.2%), 女5例(2.9%)であった. 顎矯正手術の術式は複雑で, 多量の出血を伴うことがあり, 手術に対するリスクは高く, 準備はより慎重に行う必要がある. 今回の結果からも顎変形症患者でも大きなリスクファクターとなりうる疾患が見られ, 術前検査をおろそかにすると, それらを見逃す危険性を有し, 本症例に関しても他のあらゆる症例と同様に, 術前評価は治療計画を立てる時点から十分に行う必要があり, そのための多種にわたる術前検査は不可欠であることが確認された. 質問 京大, 医, 口外 村上賢一郎 肝炎ウィルスの検出ではC型肝炎抗体の検出頻度はどのくらいでしたか? 質問 九大, 歯, 1口外 白土雄司 (1)術前の血液検査の時期は, どの段階でされますか. (2)本報告以外に出血時間の延長やCPKの異常高値などで手術時期を延期された症例はありませんか. 回答 大阪歯大, 1口外 島盛隆 (1)術前検査ではウイルスが確認されず, 術直前検査で判明した症例はHCV感染でした. (2)特にアレルギーが多く18%に見られ, ぜん息は7%に見られた. 他に甲状腺機能異常2例, 腎疾患が1例見られた. 止血能異常やCPKが特に高い症例は見られなかった. 追加 大阪歯大, 1口外 久保誼修 手術を延期した症例として, 自己血採血後肝機能が上昇した症例がありました. その症例はなぜ肝機能が上昇したか不明です.
ISSN:0916-7048