B-23. MAP液を用いた貯血式自己血輸血の全上下顎同時移動術への応用
自己血輸血は同種血輸血によるウイルス感染や抗原抗体反応による副作用, 特にGVHDなどの重篤な合併症を回避でき, 各科の手術に応用されている. 今回我々は, 全上下顎同時移動術を受ける8症例(男性:5症例, 女性:3症例)に対し, 新しい赤血球保存液であるMAP液を用いた貯血式自己血輸血を行なった. これまでの赤血球保存液であるCPD液やACD液では, 血液保存期限が3週間と短いため, 800ml前後の自己血貯血量が必要な場合, 患者は採血による貧血状態から回復する前に手術を受けることが多かった. また, 貧血改善のために3週間を越えて行なう場合には, 蛙飛び法などを用いなくてはならなかった....
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Veröffentlicht in: | 日本顎変形症学会雑誌 1993, Vol.3 (2), p.215-215 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 自己血輸血は同種血輸血によるウイルス感染や抗原抗体反応による副作用, 特にGVHDなどの重篤な合併症を回避でき, 各科の手術に応用されている. 今回我々は, 全上下顎同時移動術を受ける8症例(男性:5症例, 女性:3症例)に対し, 新しい赤血球保存液であるMAP液を用いた貯血式自己血輸血を行なった. これまでの赤血球保存液であるCPD液やACD液では, 血液保存期限が3週間と短いため, 800ml前後の自己血貯血量が必要な場合, 患者は採血による貧血状態から回復する前に手術を受けることが多かった. また, 貧血改善のために3週間を越えて行なう場合には, 蛙飛び法などを用いなくてはならなかった. MAP加赤血球濃厚液は6週間の保存が可能なので蛙飛び法を用いずに800mlの自己血採血が可能である. 今回は手術の5週間前と3週間前にそれぞれ400mlの自己血採血を行なった. 周術期のヘマトクリット値, ヘモグロビン値の推移を観ると, 男性が手術直前に採血前の値にほぼ回復しているのに対し, 女性は2回目の自己血採血による低下が手術直前にも残存していた. これは, 女性の平均体重が53.9kgであるのに対し, 男性は70.7kgであり, 女性の体重当たりの採血量は男性の約1.3倍になること, また女性の貯蔵鉄量は男性に比較して少ないということが原因と考えられる. しかし, 手術当日は, 全症例とも自己血輸血により手術中および術後の出血による極度の貧血を避けることができ, また1ヵ月後には完全に回復した. 以上のことより, MAP液を用いた貯血式自己血輸血は, 術前に矯正期間のある顎矯正外科手術に適していると考えられる. |
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ISSN: | 0916-7048 |