B-6. 骨格性下顎前突症における外科・非外科的矯正治療の判定評価について

骨格性下顎前突症に対し外科的矯正治療を適用する理由として, 矯正治療のみによる咬合の改善が困難な場合が挙げられる. また, その診断はセファロ分析により通常行われる. 側貌セファロ分析による外科的矯正の判定基準には種々の評価法があるが, 計測値のみでは外科的矯正治療の適否を判定することが困難な場合に遭遇する. そこで今回我々は, 著しい骨格性下顎前突の外科的症例と非外科的症例を比較し, 外科的矯正治療の判定基準と言われるいくつかの評価法について検討した. 動的治療終了後4年を経過し, 安定した咬合が保たれている骨格性下顎前突症例のうちSteiner分析値においてSNA, SNB, FMA, S...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 1993, Vol.3 (2), p.190-190
Hauptverfasser: 木下三樹夫, 中西洋介, 笹岡邦夫, 古谷直樹, 川本達雄, 木下善之介, 中嶋正博, 岡野博郎, 谷野隆三郎, 出口正己, 久保誼修, 花田晃治, 宮本圭介
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:骨格性下顎前突症に対し外科的矯正治療を適用する理由として, 矯正治療のみによる咬合の改善が困難な場合が挙げられる. また, その診断はセファロ分析により通常行われる. 側貌セファロ分析による外科的矯正の判定基準には種々の評価法があるが, 計測値のみでは外科的矯正治療の適否を判定することが困難な場合に遭遇する. そこで今回我々は, 著しい骨格性下顎前突の外科的症例と非外科的症例を比較し, 外科的矯正治療の判定基準と言われるいくつかの評価法について検討した. 動的治療終了後4年を経過し, 安定した咬合が保たれている骨格性下顎前突症例のうちSteiner分析値においてSNA, SNB, FMA, SL等骨格的形態が類似した外科的症例と非外科的症例を用い, 外科的矯正治療の適否について再評価を行った. 外科的矯正症例では, Wylie法およびANB, APDI値において外科的矯正の判定が得られ, A-B to MPでは非外科的矯正と判定された. 非外科的治療例では, ANB, APDI値で外科的矯正の判定が得られ, A-B to MP, Wylie法では非外科的矯正の判定が得られた. 分析の結果, 今回用いた外科的症例においても咬合の改善のみを求めるのなら, 非外科的治療が可能であったと思われる. しかし, 審美的要素を含め, 総合的な判断を行うと, 外科的治療が適切であったと考えられる. 今回の症例比較で, 単に1つの評価法により外科, 非外科的矯正治療の判定を行うべきでなく, 複数の評価法による総合的判定の必要性が示唆された. 質問 大阪歯大, 1口外 久保誼修 同様のセファロ値を示している症例のようですが, 年令差の要因は大きいように思いますがどうでしょうか. 回答 大阪歯大, 矯正 木下三樹夫 本外科的症例の初診時は14Y 5Mでしたが, 手術前セファロ分析値(18Y時)でもSNA, SNB, FMA, SL等Skeletal patternを示す値に変化は認められませんでしたので, 本非外科的症例との対比が可能であったと考えます. 質問 新潟大, 歯, 矯正 花田晃治 外科的矯正治療か矯正治療単独かの判定には咬合位セファログラムの分析だけではなしにCo-Cr differenceの検討も必要と思いますがいかがですか. 回答 大阪歯大, 矯正 木下三樹夫 Co-Cr differenceの検討も必要だと思います. 本症例において咬合器へのマウント等は行っていませんが, 特に本非外科的症例では初診時でも大臼歯関係がClass Iであり, もしCo-Crに大きな相違があったならばClass II傾向を示していたはずで, 術後Class Iで安定しておりますのでCo-Crの大きな相違は認められなかったと考えます. 質問 広島大, 歯, 矯正 宮本圭介 (1)外科矯正術を適応するか否かの評価は必要と考えるが, その判定を左右する最も大きな要因は患者の希望であることを確認したい. (2)本報告の外科的矯正治療例は, 下顎骨のsetbackの適応でなかったかと思われるが, 骨体部骨切りとしたのは何故か. 回答 大阪歯大, 矯正 木下三樹夫 (1)顔貌に対する要求に対しては個人の主観に左右されますので, 患者の希望を採り入れますが, 咬合の改善に対する診断においては, 患者の希望は採り入れず中立の立場で行っております. (2)本外科症例はかなり以前に手術を行った症例であり, 当時body切りに実績があったのでbody切りを選択しました. 本来, 上顎小臼歯をExtし臼歯関係の改善を行うべきではありましたが, 治療期間の問題で行えませんでした.
ISSN:0916-7048