A-16. 顎変形症者における顎運動の分析 第3報 下顎前突症者の術前・術後1年間の自覚症状の経時的推移

顎変形症者の治療に際し顎矯正手術が頻繁に行われている. 患者は, 顎矯正手術の施行により形態, 機能, 心理などに様々な変化を受けることになる. 術者はこの術後の適応状況を把握し, 改善の程度を経時的に観察することが必要である. 今回, 我々は術前から術後1年間にわたる下顎前突症者の自覚症状の推移について検討し, その概要を報告した. 研究対象は, 下顎前突症者で下顎枝矢状分割法による下顎後退手術を施行した男性6名, 女性20名の計26名であった. 観察方法は, 自覚症状の測定として患者自身が記入するアンケート形式のVisual Analogue Scale(以下V.A.S.)を用いて, 外観...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 1993, Vol.3 (2), p.170-170
Hauptverfasser: 茂呂明宏, 熊澤康雄, 内田稔, 小林一彦, 波田野泰夫, 道健一, 辺見夏樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:顎変形症者の治療に際し顎矯正手術が頻繁に行われている. 患者は, 顎矯正手術の施行により形態, 機能, 心理などに様々な変化を受けることになる. 術者はこの術後の適応状況を把握し, 改善の程度を経時的に観察することが必要である. 今回, 我々は術前から術後1年間にわたる下顎前突症者の自覚症状の推移について検討し, その概要を報告した. 研究対象は, 下顎前突症者で下顎枝矢状分割法による下顎後退手術を施行した男性6名, 女性20名の計26名であった. 観察方法は, 自覚症状の測定として患者自身が記入するアンケート形式のVisual Analogue Scale(以下V.A.S.)を用いて, 外観の問題, 話しにくさ, 食べにくさ, 顎運動の困難度(左, 右, 前方, 開口), 関節雑音(左, 右), 顎運動痛, 頭部痛, 頸部痛, 顔面部痛, 手術部位痛の14項目について行った. 測定時点は, 手術直前, 術後1, 2, 3, 6, 9か月, 1年の計7回行った. 術前に自覚症状の訴えの多いものは, 外観の問題, 話しにくさ, 食べにくさ, 顎運動の困難度の順であった. また, V.A.S.評価値の高かったものは, 外観の問題, 食べにくさ, 話しにくさ, 顎運動の困難度の順であった. 外観の問題, 話しにくさ, 食べにくさの各項目は, 術後1か月から症状の軽減がみられた. 術前の関節雑音は, 50%前後であり, 疼痛に関しては20%以下と低いものであった. 顎運動の困難度は術後1か月にV.A.S.評価値の上昇がみられ, その後は下降していった. 質問 昭和大, 歯, 1口外 道健一 術前と術後を比較してV.A.S.が増悪した症例はありませんでしたか. 回答 日歯大, 口外2 茂呂明宏 顎関節雑音については, 術前にみられなかったものや小さかったものが, 術後に出現するものと大きくなるものが少数にみられました. 顎関節雑音の消失, 出現は, 開口量とも関係すると思います. 質問 札幌医大, 口外 辺見夏樹 (1)症例で男女差はなかったか. (2)自覚症状と他覚症状の結びつけを行わないのか. 回答 日歯大, 日外2 茂呂明宏 (1)正確な男女差はだしておりませんが, 外観の問題では女性に, 食べにくさと話しにくさは男性に多い傾向と思われます. (2)次回の口腔外科学会総会で他覚症状の項目による関係を検討し, その後自覚症状についても研究を進める予定であります.
ISSN:0916-7048