C-5.自家血輸血の顎矯正外科への適用-1983年より1992年までの経験と展望
顎矯正手術施行時には同種血輸血は行わないことが肝要で, 1983年7月, 我々は顎矯正手術に自家血輸血を導入した. さらに1986年より出血量軽減のため症例を選んで低血圧麻酔を行ってきた. 今回これまでに行った自家血輸血の概要についての報告をした. (1)1983年7月から1992年5月15日までの顎矯正手術246例に, 自家血輸血を行った. (2)この246例中4例は出血量が多かったため, 同種血輸血を余儀なくされ, うち1例に輸血後肝炎が発症した. (3)手術内容あるいは患者の都合等で自家血が準備されなかった症例は27例あった. (4)貯血式自家血輸血を採用し, 採血量は定型的手術手技と低...
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Veröffentlicht in: | 日本顎変形症学会雑誌 1992, Vol.2 (2), p.216-216 |
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Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 顎矯正手術施行時には同種血輸血は行わないことが肝要で, 1983年7月, 我々は顎矯正手術に自家血輸血を導入した. さらに1986年より出血量軽減のため症例を選んで低血圧麻酔を行ってきた. 今回これまでに行った自家血輸血の概要についての報告をした. (1)1983年7月から1992年5月15日までの顎矯正手術246例に, 自家血輸血を行った. (2)この246例中4例は出血量が多かったため, 同種血輸血を余儀なくされ, うち1例に輸血後肝炎が発症した. (3)手術内容あるいは患者の都合等で自家血が準備されなかった症例は27例あった. (4)貯血式自家血輸血を採用し, 採血量は定型的手術手技と低血圧麻酔により出血量が予想可能となったため, 下記の通りとしている. 採血量(gr)応用例400 下顎枝矢状分割法, 800 全上下顎同時移動術, 1, 200 Le Fort II, III型骨切り術, 採血1カ月前より鉄剤, ビタミンCの経口投与を行う. 貯血式自家血輸血は極めて簡便であり, また患者からの要望も強く, 顎矯正外科を普遍的なものとするため, 今後多くの施設で実施されなければならないと思われた. 質問 新潟大, 歯, 2口外 武藤祐一 当科でも自己血輸血(貯血)を行ない, 良好な結果を得ていますが, これからの展望として稀釈式の採用の可否につき御教示下さい. 回答 東歯大, 2口外 滝昌弘 今後他科の協力が得られれば, 希釈式自家血輸血も併用していきたい. 質問 東北大, 歯, 1口外 川村仁 1. 自家血輸血を行う対象症例が多すぎるのではないでしょうか. 2自家血輸血, 開始の基準について御教示願います. 回答 東歯大, 2口外 滝昌弘 出血量の予測は可能であるが, 万が一の場合に備えて, 自家血を採血している. 保険の考えに類似している. 質問 新潟大, 歯, 2口外 鍛冶昌孝 1. 1, 000ml以上の貯血式自己血を輸血する場合には, 凝固因子の減少による出血傾向の上昇が問題となるのではないか. 2. 自己血をもどす場合出血量よりやや多めが良いと考えていますが, 貴科では, どのように考えておられますか. 追加 東歯大, 2口外 鶴木隆 1. 川村仁(東北大, 1口外)先生に対して:同種血輸血を顎矯正手術に決して行わないという決意が大切であると考えます. 熟練した術者にとっては, ほとんど必要がないという考えもあるが, 出血量に相当する血液量を補充すれば, 術後の貧血が生せず, 早期離床, 創傷治癒良好, 早期退院術後ウィルス性肝炎の可能性がないなどの多くのメリットがある. このため, 術中出血量100~200ml程度で, 自家血輸血を開始する方針をとっている. 大学病院は教育が大切である. 教育途上の術者により同種血輸血を余儀なくされてはならない. この面からも術前, 自家血を必要量準備すべきである. 2. 福田(新潟大, 2口外)先生に対して:自家血の輸血量は, 術前採血に伴う, 軽度の貧血を考慮して, 出血量より多少多めに行うべきと考えます. |
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ISSN: | 0916-7048 |