A-57.Le Fort I osteotomyによるdish face deformityの改善

顎変形症におけるdish face deformityは本来上顎の発育障害に由来するものであり唇顎口蓋裂症例においてしばしば認められる. しかし上顎の低形成のない骨格性III級の下顎前突症例においても, 下顎の著しい突出により, 相対的dish face deformityとなる. これら症例の骨切り手術前後のdish face deformity改善の指標としては, 側貌セファロにおける鼻, 上口唇, 下口唇の前後関係のバランスにおいて論じられてきたが, これらが改善しても, 中顔面の陥凹感の残る症例がときに見られる. そこで私たちは, 過去3年間に上下顎もしくは下顎骨切り術を行なった顎変形...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 1992, Vol.2 (2), p.191-191
Hauptverfasser: 栗原卓也, 原科孝雄, 中嶋英雄, 藤野豊美, 一色泰成, 今村雅郎, 杉山聡美, 吉野成史, 水野均
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:顎変形症におけるdish face deformityは本来上顎の発育障害に由来するものであり唇顎口蓋裂症例においてしばしば認められる. しかし上顎の低形成のない骨格性III級の下顎前突症例においても, 下顎の著しい突出により, 相対的dish face deformityとなる. これら症例の骨切り手術前後のdish face deformity改善の指標としては, 側貌セファロにおける鼻, 上口唇, 下口唇の前後関係のバランスにおいて論じられてきたが, これらが改善しても, 中顔面の陥凹感の残る症例がときに見られる. そこで私たちは, 過去3年間に上下顎もしくは下顎骨切り術を行なった顎変形症症例の術前術後の側貌セファロにおいて頬部皮膚面の検討を行なった. その結果, 通常のLe Fort I骨切り術を行ない, down fractureにより咬合平面を時計回りに回転させて上顎骨の固定を行なった症例において, 頬部皮膚面の前方凸への改善が得られていることが判明したので, 症例を呈示して報告した. 従来dish face deformity改善の方法とされているhigh level Le Fort IやLe Fort I骨切り術を用いなくとも, 通常のLe Fort I骨切り術で, 改善の得られることが判明した. この方法で, 頬部皮膚面が前方凸になる理由として, 頬骨前面にある表情筋のうち, 口角を停止部とする大頬骨筋, 口角挙筋が, 上顎の時計回りの回転により後下方に引かれるためと考えられた.
ISSN:0916-7048