A-28.顎変形症患者における咀嚼機能の定量的評価

今回我々は, 顎変形症患者における咀嚼機能を客観的に評価するために, 咀嚼能率と咬合接触状態の測定を行った. 咀嚼能率の測定は, ATP吸光度法によって行い, 咬合接触状態の分析には, シリコーン, ブラック法に画像処理装置を応用した. 測定は, 対照群として, 正常咬合を有し歯牙の植立状態に異常の認められない健全歯列者30名, 未治療群として矯正治療の経験のない顎変形症患者12名, さらに治療終了群として, 外科的矯正治療後1年以上経過し, 術後矯正治療の終了した顎変形症患者21名について行った. その結果, 咀嚼能率は, 対照群が平均で1.14absであったのに対し, 未治療群では0.51...

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Veröffentlicht in:日本顎変形症学会雑誌 1991, Vol.1 (1), p.170-171
Hauptverfasser: 小林正治, 本間克彦, 長峯岳司, 中島民雄, 篠倉均, 花田晃治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:今回我々は, 顎変形症患者における咀嚼機能を客観的に評価するために, 咀嚼能率と咬合接触状態の測定を行った. 咀嚼能率の測定は, ATP吸光度法によって行い, 咬合接触状態の分析には, シリコーン, ブラック法に画像処理装置を応用した. 測定は, 対照群として, 正常咬合を有し歯牙の植立状態に異常の認められない健全歯列者30名, 未治療群として矯正治療の経験のない顎変形症患者12名, さらに治療終了群として, 外科的矯正治療後1年以上経過し, 術後矯正治療の終了した顎変形症患者21名について行った. その結果, 咀嚼能率は, 対照群が平均で1.14absであったのに対し, 未治療群では0.51abs, 治療終了群でも0.65absとかなり低い値を示した. 咬合接触点数は, 対照群が平均で29.1個であったのに対し, 未治療群では14.7個, 治療終了群でも16.3個と低い値を示した. 咬合接触面積でも同様に, 対照群が平均で34.2mm2であったのに対し, 未治療群では13mm2, 治療終了群では10.8mm2であった. また, 咀嚼能率と咬合接触点数, 咀嚼能率と咬合接触面積との間には, 1%以下の危険率で相関を認めた. 以上より, 咬合接触状態が咀嚼能率に大きな影響を及ぼす因子の一つであることが確認された. また, 顎変形症患者の治療後の咀嚼機能をさらに改善するためには, 術後矯正治療の目標や咬合調整などについての再検討が必要ではないかと思われた. 質問 大歯大, 1口外 覚道健治 先生のシステムでは, シリコンバイトの透過光から咬合接触面積を算出されておられますが, 歯の咬頭の傾斜角度のちがいによる影響の因子をどのように処理されておられますか. 回答 新大, 歯, 1口外 小林正治 今回の咬合接触状態の測定では, 咬頭傾斜については考慮しておりません. ただ常に同一方向から同一条件で入力した画像を分析した方が, 簡便で再現性のあるデータが得られ, 評価もしやすいと思います.
ISSN:0916-7048