脳出血に続発した Bacteroides fragilisによる脳膿瘍の1例

症例は86歳男性.1週間前から持続する視野障害と頭痛を主訴に受診した.頭部CTで右後頭葉皮質下出血を認め,保存的加療目的に入院した.入院時より誤嚥性肺炎による発熱を繰り返し,そのたびに抗菌薬治療で軽快していた.Day35に失行が出現し,Day41に施行した頭部MRIで脳出血部に脳膿瘍を疑う病変を認め,硬膜下や右側脳室内にも同様の病変を認めた.穿頭によるドレナージ術を行い,術中所見から脳膿瘍と診断した.術中検体と同日採取した血液培養から Bacteroides fragilisが検出された.抗菌薬治療を約6週間行い,療養型病院に転院した.脳出血後の脳膿瘍は報告が少なく,稀な合併症である.本症例は...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2024, Vol.46(3), pp.229-233
Hauptverfasser: 泉原, 康平, 神浦, 真光, 守本, 純, 小川, 智之, 藤田, 浩二, 小林, 和樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は86歳男性.1週間前から持続する視野障害と頭痛を主訴に受診した.頭部CTで右後頭葉皮質下出血を認め,保存的加療目的に入院した.入院時より誤嚥性肺炎による発熱を繰り返し,そのたびに抗菌薬治療で軽快していた.Day35に失行が出現し,Day41に施行した頭部MRIで脳出血部に脳膿瘍を疑う病変を認め,硬膜下や右側脳室内にも同様の病変を認めた.穿頭によるドレナージ術を行い,術中所見から脳膿瘍と診断した.術中検体と同日採取した血液培養から Bacteroides fragilisが検出された.抗菌薬治療を約6週間行い,療養型病院に転院した.脳出血後の脳膿瘍は報告が少なく,稀な合併症である.本症例は脳膿瘍と血液から同一の菌種が同定された初めての症例である.さらに, Bacteroides fragilisが脳出血に続発した脳膿瘍の起因菌として報告された症例は,渉猟し得た限り見当たらなかった.そこで我々は,この稀な症例を文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11184