血栓回収2日後にくも膜下出血が生じた感染性心内膜炎の1例

症例は70歳男性.意識障害を主訴に当科に救急搬送された.MRIでは左前大脳動脈水平部(A1部)から両側前大脳動脈垂直部(A2部)の閉塞と,両側前大脳動脈領域の急性期脳梗塞を認めた.直ちに血栓回収療法を行い,右A2部は再開通したが,左A2部を再開通させることはできなかった.術中や術直後には頭蓋内出血はみられなかったが,治療2日後に前交通動脈に仮性動脈瘤が出現し,くも膜下出血と水頭症を認めた.脳室ドレナージと左A1部の母血管閉塞を行った.心エコーで大動脈弁に疣腫の付着と血液培養で Enterococcus faecalisが検出され,感染性心内膜炎と診断した.セフトリアキソンやバンコマイシン,ピペ...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2024, Vol.46(2), pp.162-167
Hauptverfasser: 倉内, 麗徳, 恩田, 敏之, 高橋, 賢, 稲村, 茂, 野中, 雅, 大坊, 雅彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は70歳男性.意識障害を主訴に当科に救急搬送された.MRIでは左前大脳動脈水平部(A1部)から両側前大脳動脈垂直部(A2部)の閉塞と,両側前大脳動脈領域の急性期脳梗塞を認めた.直ちに血栓回収療法を行い,右A2部は再開通したが,左A2部を再開通させることはできなかった.術中や術直後には頭蓋内出血はみられなかったが,治療2日後に前交通動脈に仮性動脈瘤が出現し,くも膜下出血と水頭症を認めた.脳室ドレナージと左A1部の母血管閉塞を行った.心エコーで大動脈弁に疣腫の付着と血液培養で Enterococcus faecalisが検出され,感染性心内膜炎と診断した.セフトリアキソンやバンコマイシン,ピペラシンによる抗菌薬加療を行い,感染徴候は軽快したが,突然心停止し死亡した.感染性心内膜炎などの感染を背景にした塞栓症では,血栓回収が難しいことや,遅発性に動脈が破裂することがあり,注意が必要である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11182