急性心筋梗塞合併の脳主幹動脈閉塞症に対し,経皮的冠動脈形成術先行で血栓回収療法を行った1例

89歳男性,突然の左上下肢麻痺を発症し,約40分で当院へ救急搬送された.来院時,JCS 2, 右共同偏視,左上下肢の重度麻痺を認め,NIHSS 21点であった.CTで右M1にhyperdense MCA signを認めたが,早期脳虚血性変化は認めなかった.心電図ではST上昇を認め,急性心筋梗塞に伴う心原性脳塞栓症と診断した.rt-PA静注療法は見送り,急性心筋梗塞に対する経皮的冠動脈形成術を行い,続いて脳血管撮影を行った.右中大脳動脈M1近位部閉塞を確認,血栓回収療法を行い,完全再開通が得られた.穿刺から再開通までは73分であった.治療後は左上下肢挙上可能となり,mRS 3で転院した.両疾患を...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:脳卒中 2024, Vol.46(1), pp.25-29
Hauptverfasser: 淺野, 紘史, 向田, 直人, 込山, 和毅, 和田, 元, 若林, 和樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:89歳男性,突然の左上下肢麻痺を発症し,約40分で当院へ救急搬送された.来院時,JCS 2, 右共同偏視,左上下肢の重度麻痺を認め,NIHSS 21点であった.CTで右M1にhyperdense MCA signを認めたが,早期脳虚血性変化は認めなかった.心電図ではST上昇を認め,急性心筋梗塞に伴う心原性脳塞栓症と診断した.rt-PA静注療法は見送り,急性心筋梗塞に対する経皮的冠動脈形成術を行い,続いて脳血管撮影を行った.右中大脳動脈M1近位部閉塞を確認,血栓回収療法を行い,完全再開通が得られた.穿刺から再開通までは73分であった.治療後は左上下肢挙上可能となり,mRS 3で転院した.両疾患を合併した場合,治療の順序は症例ごとに検討が必要であるが,本症例は急性心筋梗塞の重症度が高いと判断し,優先して治療した.単純CTのみで診断しrt-PA静注療法を見送ったことで,治療時間短縮につながった.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11149