脳静脈血栓症に対してヘパリン投与下でワルファリン開始後に肺塞栓を発症した先天性プロテインC欠乏症の1例

症例は37歳男性.父に深部静脈血栓症の既往あり.数分間の全身痙攣があったが自然に軽快し,自宅で様子をみていた.翌日前頭部痛が出現後,強直間代性痙攣を繰り返し当院に搬送された.痙攣のコントロールが不良であり,全身麻酔を導入した.頭部CTで上矢状静脈洞血栓を認めたため,ヘパリン持続静注を開始後,ワルファリン内服を開始した.ワルファリン開始後Dダイマーが急激に上昇し,肺塞栓症を発症した.ヘパリン3000単位を急速静注し,ワルファリンを漸増したところ血栓は消退し,後遺症なく退院した.プロテインC活性が38%と低値であり,遺伝子検査ではエクソン7 c.631C>T, p.Arg211Trp変異を認...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2023, Vol.45(2), pp.167-174
Hauptverfasser: 原田, 雅也, 菊池, 真介, 水田, 滋久, 牧園, 剛大, 長屋, 聡美, 藤村, 直子, 森下, 英理子, 谷脇, 考恭
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は37歳男性.父に深部静脈血栓症の既往あり.数分間の全身痙攣があったが自然に軽快し,自宅で様子をみていた.翌日前頭部痛が出現後,強直間代性痙攣を繰り返し当院に搬送された.痙攣のコントロールが不良であり,全身麻酔を導入した.頭部CTで上矢状静脈洞血栓を認めたため,ヘパリン持続静注を開始後,ワルファリン内服を開始した.ワルファリン開始後Dダイマーが急激に上昇し,肺塞栓症を発症した.ヘパリン3000単位を急速静注し,ワルファリンを漸増したところ血栓は消退し,後遺症なく退院した.プロテインC活性が38%と低値であり,遺伝子検査ではエクソン7 c.631C>T, p.Arg211Trp変異を認めた.プロテインC欠乏症では,ワルファリン導入初期に血栓症が増悪することがある.脳静脈洞血栓症にワルファリンを導入する初期には,頻回なDダイマー測定が考慮される.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11069