胸部大動脈ステントグラフト治療の既往がある急性主幹動脈閉塞症に対しsurgical embolectomyが奏功した1例

症例は83歳男性.突然の右半身麻痺および失語を呈し,当院に救急搬送された.来院時,全失語,右半身完全麻痺の状態であった.頭部造影CTと脳MRIで左MCA急性閉塞を認めた.機械的血栓回収療法を検討したが,胸部大動脈瘤に対するステントグラフト留置(thoracic endovascular aortic repair: TEVAR)の既往があり,経大動脈的アプローチは困難と予測された.そのため,緊急で顕微鏡下のsurgical embolectomyを施行した.術後症状は著明に改善し,NIHSS 3点,mRS 2点で自宅退院となった.発症から来院までの時間が短いMCA急性閉塞症に対して,機械的血栓...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2022, Vol.44(6), pp.664-669
Hauptverfasser: 村松, 佑亮, 布施, 佑太郎, 太田, 慎次, 中村, 茂和, 栗本, 太志, 渡邉, 和彦, 齋藤, 竜太
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は83歳男性.突然の右半身麻痺および失語を呈し,当院に救急搬送された.来院時,全失語,右半身完全麻痺の状態であった.頭部造影CTと脳MRIで左MCA急性閉塞を認めた.機械的血栓回収療法を検討したが,胸部大動脈瘤に対するステントグラフト留置(thoracic endovascular aortic repair: TEVAR)の既往があり,経大動脈的アプローチは困難と予測された.そのため,緊急で顕微鏡下のsurgical embolectomyを施行した.術後症状は著明に改善し,NIHSS 3点,mRS 2点で自宅退院となった.発症から来院までの時間が短いMCA急性閉塞症に対して,機械的血栓回収療法のリスクが高い場合にsurgical embolectomyを行い,良好な転帰を得た.急性期脳主幹動脈閉塞に対して,大動脈アプローチが困難と予想される場合には,surgical embolectomyをはじめから治療の選択肢に加えることを検討してもよいかもしれない.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11028