Arterial spin labelingによるMR灌流画像で両側線状体に一過性の血流増加を認めた低酸素脳症の1例

低酸素脳症のMRI診断において,拡散強調画像(DWI)の有用性が報告されているが,arterial spin labeling(ASL)による灌流画像がより有用であった症例を報告する.症例は72歳,糖尿病治療中の女性.上腕骨・肘頭骨折で入院となった翌日に心肺蘇生が施行された(Day 1)が,遷延性意識障害を呈した.Day 11のDWIでは両側線状体はごく軽度に高信号を呈するのみであったが,ASLでは同部に血流増加がみられた.Day 33と61のT1強調画像で,両側線状体に高信号域が出現し,ASLでは同部の血流は経時的に低下していった.これはFujiokaらが提唱した大脳半球の一過性あるいは軽度...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2022, Vol.44(6), pp.636-641
Hauptverfasser: 後藤, 克宏, 堤, 貴大, 深水, 豊, 高崎, 実, 田中, 厚生, 庄野, 禎久, 森岡, 隆人
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:低酸素脳症のMRI診断において,拡散強調画像(DWI)の有用性が報告されているが,arterial spin labeling(ASL)による灌流画像がより有用であった症例を報告する.症例は72歳,糖尿病治療中の女性.上腕骨・肘頭骨折で入院となった翌日に心肺蘇生が施行された(Day 1)が,遷延性意識障害を呈した.Day 11のDWIでは両側線状体はごく軽度に高信号を呈するのみであったが,ASLでは同部に血流増加がみられた.Day 33と61のT1強調画像で,両側線状体に高信号域が出現し,ASLでは同部の血流は経時的に低下していった.これはFujiokaらが提唱した大脳半球の一過性あるいは軽度の虚血後に,同側線状体に遅発性にT1高信号が出現する病態が,両側に生じたものと考えた.MRIの通常撮像法にASLを加えることで,低酸素脳症に対する画像評価の精度が上がる可能性が示された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11017