脳塞栓症を繰り返した椎骨動脈解離の1例

脳動脈解離は,若年発症の脳梗塞の原因となり得る病態であるが,微細な変化にとどまり,診断に難渋することがある.症例は40歳男性.視野障害で来院した.MRI拡散強調像で後方循環に点状の高信号を散在性に認めたが,MRAでは異常はみられなかった.抗血栓療法を行ったが,後方循環に1カ月間に3度の脳梗塞を繰り返した.その間に生理検査や画像検査を行ったが,原因を同定できなかった.血液検査では抗リン脂質抗体が陽性であった.血管造影検査を行い,右椎骨動脈V2–3移行部の膨隆を認め,動脈解離と診断した.解剖学的に右椎骨動脈が横突起孔を通過する部分で,頸部回旋などに際して損傷したものと判断した.同一血管へ脳梗塞を繰...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2022, Vol.44(5), pp.559-563
Hauptverfasser: 有竹, 洵, 林, 健太郎, 岩佐, 憲一, 金井, 由貴枝, 田原, 奈生, 加藤, 芳恵, 安部, 哲史, 三瀧, 真悟, 長井, 篤
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳動脈解離は,若年発症の脳梗塞の原因となり得る病態であるが,微細な変化にとどまり,診断に難渋することがある.症例は40歳男性.視野障害で来院した.MRI拡散強調像で後方循環に点状の高信号を散在性に認めたが,MRAでは異常はみられなかった.抗血栓療法を行ったが,後方循環に1カ月間に3度の脳梗塞を繰り返した.その間に生理検査や画像検査を行ったが,原因を同定できなかった.血液検査では抗リン脂質抗体が陽性であった.血管造影検査を行い,右椎骨動脈V2–3移行部の膨隆を認め,動脈解離と診断した.解剖学的に右椎骨動脈が横突起孔を通過する部分で,頸部回旋などに際して損傷したものと判断した.同一血管へ脳梗塞を繰り返している場合には,経時的に血管造影を含めた画像診断を行う必要性があると考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10996