視床後外側脳梗塞によって失立症を呈した1例

87歳女性.起立困難で当院救急搬送となった.神経学的には軽微な失調徴候のみで明らかな麻痺は認めなかったが,起立時に前後に動揺する著明な立位保持困難と左側への易転倒性を認めた.頭部MRIでは右視床後外側に急性期脳梗塞像を認めた.視床病変により失調と失立症を引き起こしたと考え,頭蓋内主幹動脈には多数の高度狭窄があることから,アテローム血栓性脳梗塞として加療を行った.第26病日には,失調徴候は変わらなかったが,起立,歩行が軽介助で可能となり,リハビリ病院へ転院となった.立位保持困難な症例において,頭部MRIで視床後外側病変を認めたら視床性失立症が原因である可能性があり,視床性失立症の特徴や発症機序に...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2022, Vol.44(4), pp.394-398
Hauptverfasser: 岡田, 洋一郎, 橋本, 大輝, 前田, 和彦, 河野, 隆一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:87歳女性.起立困難で当院救急搬送となった.神経学的には軽微な失調徴候のみで明らかな麻痺は認めなかったが,起立時に前後に動揺する著明な立位保持困難と左側への易転倒性を認めた.頭部MRIでは右視床後外側に急性期脳梗塞像を認めた.視床病変により失調と失立症を引き起こしたと考え,頭蓋内主幹動脈には多数の高度狭窄があることから,アテローム血栓性脳梗塞として加療を行った.第26病日には,失調徴候は変わらなかったが,起立,歩行が軽介助で可能となり,リハビリ病院へ転院となった.立位保持困難な症例において,頭部MRIで視床後外側病変を認めたら視床性失立症が原因である可能性があり,視床性失立症の特徴や発症機序について文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10972