Bow hunter症候群との鑑別を要し,可逆性脳血管攣縮症候群と考えられた1例

症例は43歳男性.ゴルフの練習中に後頸部痛を自覚後,一過性に右視野欠損,右上下肢のしびれ感と脱力を認めた.頭部MRIで左側脳室近傍に急性期脳梗塞を認めたが,頭部MRAで異常はなかった.抗血栓療法開始1週間後より,後大脳動脈が分節性に狭窄し,2週間にわたり後方循環領域のみに脳梗塞を繰り返した.可逆性脳血管攣縮症候群としてロメリジン投与後に分節状狭窄は改善し,その後再発はなかった.頸部左回旋後屈位で右椎骨動脈が上位頸椎によって腹側へ牽引され,頸動脈エコーにて収縮期血流低下と拡張期血流消失を認めた.本例は,bow hunter症候群の要素を含むものの,既知の病態では説明困難な点が多く,頸部回旋による...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2022, Vol.44(2), pp.192-197
Hauptverfasser: 中島, 章博, 福島, 隆男, 野﨑, 洋明, 森, 秀樹, 牧野, 邦比古
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は43歳男性.ゴルフの練習中に後頸部痛を自覚後,一過性に右視野欠損,右上下肢のしびれ感と脱力を認めた.頭部MRIで左側脳室近傍に急性期脳梗塞を認めたが,頭部MRAで異常はなかった.抗血栓療法開始1週間後より,後大脳動脈が分節性に狭窄し,2週間にわたり後方循環領域のみに脳梗塞を繰り返した.可逆性脳血管攣縮症候群としてロメリジン投与後に分節状狭窄は改善し,その後再発はなかった.頸部左回旋後屈位で右椎骨動脈が上位頸椎によって腹側へ牽引され,頸動脈エコーにて収縮期血流低下と拡張期血流消失を認めた.本例は,bow hunter症候群の要素を含むものの,既知の病態では説明困難な点が多く,頸部回旋による椎骨動脈への機械的ストレスが誘因となった可逆性脳血管攣縮症候群と推察した.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10938