Xa 阻害薬を治療に用いた甲状腺機能亢進症を伴う脳静脈血栓症の1 例

症例は49 歳女性.段階的に進行する頭痛,意識障害,軽度の右麻痺,痙攣発作を呈し,左前頭葉に皮質下出血を伴う上矢状静脈洞血栓症と診断された.血液検査でプロテインS 活性の低下と,甲状腺機能亢進症が認められた.抗甲状腺薬と,ヘパリンによる抗凝固療法が行われたが,第5病日に両側性の小脳梗塞,第8 病日に右小脳出血を認め,第12 病日にリバーロキサバン10 mg の1日2 回投与に切り替えられた.その後は症状の悪化や頭蓋内出血の出現はなく,入院1 カ月後の画像検査では上矢状静脈洞の再開通を認め,後遺症なく,自宅退院した.脳静脈血栓症は頭蓋内出血を伴いやすく,ワルファリンより頭蓋内出血が少ないXa 阻...

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Veröffentlicht in:脳卒中 2017, Vol.39(5), pp.361-364
Hauptverfasser: 亀田, 知明, 林, 夢夏, 直井, 為任, 安藤, 綾子, 紺野, 武彦, 宮脇, 貴裕, 川上, 忠孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は49 歳女性.段階的に進行する頭痛,意識障害,軽度の右麻痺,痙攣発作を呈し,左前頭葉に皮質下出血を伴う上矢状静脈洞血栓症と診断された.血液検査でプロテインS 活性の低下と,甲状腺機能亢進症が認められた.抗甲状腺薬と,ヘパリンによる抗凝固療法が行われたが,第5病日に両側性の小脳梗塞,第8 病日に右小脳出血を認め,第12 病日にリバーロキサバン10 mg の1日2 回投与に切り替えられた.その後は症状の悪化や頭蓋内出血の出現はなく,入院1 カ月後の画像検査では上矢状静脈洞の再開通を認め,後遺症なく,自宅退院した.脳静脈血栓症は頭蓋内出血を伴いやすく,ワルファリンより頭蓋内出血が少ないXa 阻害薬は有力な治療の選択肢になると考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10466