両側大脳半球病変により皮質聾および聴覚失認を呈した2例
「要旨」:症例は68歳と64歳の男性, 対側側頭葉病変の既往があり, 高血圧性脳出血で救急搬送された. 当初, 感覚性失語と思われたが, ABR波形は正常パターンで皮質聾と考えられた. 皮質聾, 聴覚失認は内側膝状体, 聴放線, Heschl横回(Heschl's transverse gyrus)の両側障害で起こり, 患者はあたかも聾者のようにふるまったり, 一見, 失語と紛らわしいことがある. 通常, 側頭葉病変の既往に対側大脳の障害が加わったことで発症すると言われるが, 臨床上, 遭遇することは稀でありこのような既往を有する場合は注意すべきと考える. 「はじめに」聴覚路は内側膝...
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Veröffentlicht in: | 脳卒中 2010, Vol.32 (2), p.190-196 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「要旨」:症例は68歳と64歳の男性, 対側側頭葉病変の既往があり, 高血圧性脳出血で救急搬送された. 当初, 感覚性失語と思われたが, ABR波形は正常パターンで皮質聾と考えられた. 皮質聾, 聴覚失認は内側膝状体, 聴放線, Heschl横回(Heschl's transverse gyrus)の両側障害で起こり, 患者はあたかも聾者のようにふるまったり, 一見, 失語と紛らわしいことがある. 通常, 側頭葉病変の既往に対側大脳の障害が加わったことで発症すると言われるが, 臨床上, 遭遇することは稀でありこのような既往を有する場合は注意すべきと考える. 「はじめに」聴覚路は内側膝状体から聴放線を介し, 左右それぞれの一次聴覚野であるHeschl横回(Heschl's gyrus, transverse gyrus of Heschl)へ投射され, 脳梁の交連線維で連絡する. この経路が両側で遮断されることで, 皮質聾, 皮質性聴覚障害, 皮質性難聴(cortical deafness, cortical auditory disorder, cortical hearing loss), 聴覚失認(auditory agnosia)を呈すると言われる. |
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ISSN: | 0912-0726 |